結髪 鬼空のヤキモチ
寿樹の支度が間に合わない時は健太が手伝う。
やり方は昔から知っているからおてのもんだ。
普段は双子は自分でそれぞれ髪結いをする。
しかし、今日は違った。
昨日は帰ってこれないかもしれないと言いながら、帰ってきて。
その代わり、今日も出かけるらしい。
健太は髪結いをしている間、寿樹はいつもと違う装いをしていた。
終えると間髪入れずに、弦賀さんと車で出かけて行ったのだ。
衣装が入っていた箱を片付けていると、柱の向こうから鬼空が覗いていた。
「俺にも結髪してくれ。」
「いいよ。」
健太は空き箱を片付け終えると鬼空をソファーへ導いた。
ソファーの背もたれを避け、ひじ掛けを背に座って胡坐をかく鬼空。
櫛をもってやって来る健太。
「どうしたの?いつも自分で出来るのに。」
「自分のではなく、健太の結髪に合わせなければならん。」
あくまでも、寿樹と同じにしないといけないんだと知った健太。
鬼空のいつも自分で上げている結髪をほどくと、寿樹同様の長さのストレートの髪が流れ落ちる。
「なんだ、鬼空の甘えん坊さんだと思ったら・・ちがうんだ。」
毎日のお手入れが大変そうな長い黒髪である。昔、何度かドライヤーで乾かすのを手伝った事を思い出す。
霊力が宿るのが髪とされているので、容易に切れないらしい。
双子の漆黒の艶の髪は好きだ。
これも伝統を守る近親婚のおかげなのだろうか?
鬼空が黙って大人しくしているから、ジョーダンで聞いてみた。
「鬼空がやきもち焼いて自分にも整えてくれって言ってるのかと思ったよ。」
「そんな事恥ずかしくて言えるか。」
ん!?
健太の脳内が一瞬変な取り方をしてから戻ってこれない。
ジョーダンで聞いた事がジョーダンじゃ無くなったって事は・・・えっと。
鬼空の言葉が健太の胸の中で可愛く響いてその余韻が一向に消えない。
僕が勘違いしてるのかと鬼空の顔を覗き込む。
いつものようにカッコいい鬼空だ。
鬼空が見られてる事に気づいて声を上げる。
「なんだよ。」
「カッコいいなっと思って。」
「おまえ!ぶっ殺すぞ!絶対何か隠してるだろ!!」
激しく怒られてしまった。




