鬼空が大人になった心情
【鬼空の声】
一人で生きて来た顔して
優しい手を 振り払った 心が痛かった でも それを 埋める事は何もしなかった
強がりばかりを 通して
強い言葉ばかり発してきた
誰かに何かを言われる前に 予防線を張って それでいいと思って 毎日を過ごして
君に それでいいのかい? と見られたような気がした
誤魔化して 生きてやしないかい?
君に言われたような気がして
強がりばかりを 通して
強い言葉ばかり発してきた
誤魔化して生きてこられたのに こんな自分の生き方でいいんだと 思っていたのに
君だけは いつも 悲しそうに見ていた
なんにも心配は いらないのに
黙っていれば 放っておいてくれるもんだと思っていた
放っておけば やがて朽ちて行く 命だと思っていた
なのに 君は放っておかなかった いらない世話をやいた
殴ったら 殴り返してくるもんだと 思っていた
殴ったら …………抱きしめてくれた
心の底を 見透かされてたような気分になったよ
自分は ちっぽけな 存在に思えたんだ
一人で生きて来た顔してたんだ
でも 君は 本当の自分も知らない自分を ちゃんと見つめていた
強い言葉の裏を 君はいつも見つめていた
心配そうに 悲しそうな 眼差しが
余計に苛立ちに変わった
でも それももう わかったよ
自分に素直に 生きなかった それだけだったんだ
「寿樹、僕。鬼空が 気になるんだ。」
「ああ、知っているよ。あんな甲斐性なしどこに貰い手がいるかと心配したものだ。」
「寿樹みたいに完全に女性になれたならいいのだけれど、もし、どちらにもなれなかったら、僕が付いてやろうと思っているんだ。」
「鬼空に?可哀そうだけで 人を救おうなんて 出来ないぞ。それとも 健太はアレか?やつに……。」
「うん、なくは ないと思う。弥生くんに嫉妬してる自分が居ることに最近気が付いたんだ。」
寿樹は、健太の頭をおもいっきし撫でた。
「大変だぞ。」
「大変なのは 寿樹の時にかなり 身をすり減らした。今も半分以下しか残って無い気がする。」
「わるかったな」
「もう、これ以上何も、何も、失いたくないんだ。」
「私が 悪かった。」
「ううん。」
「寿樹、待ってるから。」
「もう、帰って来ないつもりだぞ。」
「わかってる。でも僕の心の中は ずっと……毎日、毎時間、毎分、待ってる。」
健太の眼から涙がポロリと落ちた。
「泣くな」
頭を撫でられる。
「寿樹の決めた進路に 文句は言わない。だけど僕は いつも寿樹を待っているから。」
変わらない 健太の心。
身が半分以下になろうとも 想う寿樹への気持ちは 微塵も変わらなかった。
弥生が言った。
「空ちゃん、健太さんはどーして 帰ってしまう寿樹さまの事を想えるの?」
「それは、愛があるからだろ?」
「空ちゃんは、健太さんの事 好きですよね?」
「あん!?」
「でも、空ちゃんは女の子に興味がある。」
「…………。」
「っていう事は、健太さんの事 女の子だと思ってますか?」
無言で頭を叩かれる弥生。
「いっでー。」
「あんな奴 女装しても可愛くなんねー!」
「そーですよね。空ちゃんってば 面食いですもんね。深キョン位可愛くないと駄目なんですよね。オレは浜辺美波でいいんすけど。」
「もう、自分の部屋行って 寝ろ!!」
「嫌です。寒いんですもん!」




