第28話 依存
僕は練習部屋に戻ると、一目散にアダム、リュウ、ナオトにラビーとの会話内容を伝えた。さすがの僕も、今回のことを1人で抱えてはいられなかったからだ。だが、僕が転生者だという話は伏せて、あくまでもユウヤのことだけを伝えた。
「…な…!じゃぁ、ユウヤはそのラビーって女のとこにいるん!?うっわ、信じられない…」
ナオトは顔を片手で覆うが、大きな目は見開いたまま呆然としている。ナオトもそうだが、リュウ、アダムも音楽祭のときに、ラビーにハンカチを貸してもらい、そのときに一瞬会っているが、全くラビーの存在のことを覚えていなかった。
「…でも、ユウヤはラビーって子のことを、ちゃんと覚えていたんだな」
アダムは貧乏ゆすりをしながら、右手の親指と人差し指の爪をカジカジと噛んでいる。そんなアダムの爪かじを、リュウは冷めた引いた目つきで見つめている。
「だとしてもや。こんな女の部屋に入り浸って、俺らに連絡してこないんは、絶対間違っとるやろ。ユウヤは心が弱ると、すぐ何かに依存するんや。それが今回、たまたまAAZの移籍とAAZから聞いた社長の思い…ほんまか分からんけどな?それが重なって、そのラジーだかラビーだかの方に、ドサーッて倒れてもうたんやろ。はよ連れ戻して、女から離さんと、もしまた雑誌に載ってでもしたら、もうU-4は再起不能なるで」
「それは僕も同意です。ただ、他にも気になっていることがあって…」
「なんやハルト、気になってるって何をや?」
「…実は、ユウヤさんと電話したときに、ユウヤさんの話し方が変だったんです。いつもの真面目な話し方ではなくて、なんていうか軽いラフな感じで…。ラビーさん以外の、何か他のものにも依存してたりしないでしょうか」
ナオトとリュウは顔を見合わせ、互いに首を傾げる。すると、俯いていたアダムがゆっくりと顔をあげる。
「…そういえば、最近アイドル界隈で、ピンクスポットの使用が広がってると聞いたな」
「ピンクスポット…?」
「えっ、あっ、それって、あれでしょ?なんか、吸うと一瞬で気持ちよくなるってやつ。ナオトも噂で聞いたことある」
「えっ…まさか…それをユウヤさんが…?」
「…分からないが、ピンクスポットを使うと話し方が変わると聞いたことがある。まはかとは思うが、可能性は考えておいてもいいかもしれない」
「そんな……」
「とりあえず、ユウヤを練習室に引っ張り出さな話が進まん。ハルト、とりあえずうちの社長に話をして、ラビーさん宅からユウヤを連れ戻さな」
「分かりました…!」
僕は走って社長室に向かいながら、U-4の未来に頭を巡らす。
(大賞剥奪を逃れて受賞のままになってゲームのシナリオに戻ったけど、その後こんな展開なかった…もしかして、これはラビーさんが関わっているせいなのか…!?)




