表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が1番まともです?異世界転生したら特性バリバリのアイドルグループの世話係でした  作者: めんだCoda


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/29

第29話 これから(最終話)

「お疲れさまーでっす!」


 久しぶりに練習室に来たユウヤは、日中の明るい室内だというのに目の瞳孔がバキバキに開いていた。


 ユウヤは真っ直ぐにこちらを見つめていたが、顔は無表情で頬はこけ、僕もアダムもリュウもナオトも全員が、ユウヤの変わりように声が出なかった。


 だが、世話役の僕がここは何とか場をおさめなければと、静かにそして深く息を吸う。


「ユウヤさん、あの——」


 話し始めた僕の隣から素早く腕が伸び、そして、その瞬間ユウヤが吹っ飛んでいった。


「…お前何してんだよ!!」


 怒鳴り声をあげたのはアダムで、どうやらユウヤを殴り飛ばしたらしい。アダムは、殴った方であろう拳を撫でている。


「いーったあーーーー!!」


 殴られた頬を抑えて床をゴロゴロと転がるユウヤに、アダムはまだ怒りがおさまらないのか、ユウヤの側に行き胸ぐらを勢いよく掴む。


「…入院しろ。お前自身のために。それからU-4の未来のためにも」


 ユウヤは急に押し黙り、瞬きをせずじっとアダムを見つめるが、言われたことを理解しているのかは分からなかった。


 リュウ、ナオトも何も言わず、アダムとユウヤを見守っていて、僕は一言も口を挟めなかった。いや、挟む余地がなかったというのが正しいのか。


 このときばかりは、僕は世話役ということ以上に、自分の転生者という立場に気持ちが沈んだのだった。


 ◇◇◇


 今日は、U-4が初ツアーで様々な場所を転々と回っている。ファンは変わらず熱心にU-4を応援し、嬉しいことにU-4は曲を出すたびに、ランキング1位を取る、正真正銘のトップアイドルとして立場を確立した。


 世話役の僕も、ステージに立つU-4の姿が眩しくて、特性がありながらも、それを感じさせないU-4の頑張る姿が誇らしかった。


 それで、結局あの後、どうなったかという報告だけしておこうと思う。あの後、ユウヤは入院して、今現在のU-4のツアーも実はユウヤ抜きの3人でまわっている。


 表向きは心身疲労ということにしてあるが、実際はピンクスポット、いわゆる薬物みたいなものへの依存断ち切り、そしてリハビリもかねてだ。


 もちろん、入院と共にユウヤはラビーとの縁も切れ、面会謝絶となったため連絡手段も自然と途絶えた。


 そして当たり前だが、U-4も世話役の僕でさえも、ユウヤとの面会はできていない。あのとき以来。


「早くー!持ってきてー!」


 開始時間をステージ袖で待機するナオトが、後ろを振り返り、客席に聞こえない程度に声を張る。


「あっ…はい、わかりました…」


 持ってきたジャケットを広げ、ナオトが着やすいように持っているのは、AAZのルカだ。


「今度は言われる前に、準備よろしくね〜」


「あ…はい…」


 事務所移籍してきたAAZだったが、人気は下降気味で曲もヒットせず、そしてメンバーの一般人への暴行事件も勃発し、活動休止となった。


 今は、残りのAAZのメンバーと、もちろんルカもU-4のツアーに同行する舞台スタッフとして働いている。


 自信満々で上から目線だったルカだが、今や自分の将来の不安からか、暗い陰気なキャラになっている。


「なんや、あいつら。もっとハキハキしてほしいわ-まあ、薬物はあかんけどなー」


「…リュウ、それ笑えない…」


 AAZが去ったあとに、こっそりそう言うリュウは、薄い手袋を手にはめながらアダムにウィンクする。


「まあな。せやけど、まああのラビーって子も、世話役降りたみたいやし、ユウヤにもU-4にも、もう接触はないやろ。雑誌に写真載せるようなことも、もうしない言うてたんやろ?ハルト」


「はい。ユウヤさんの私的な写真を使って、ナオトさんのときのような雑誌に載せることは、もうしないと、うちの事務所と誓約を交わしました」


 結局、ナオトの騒動もラビーが関わっていたことが分かり、流石の事務所の社長も呆れてラビーとは個人的な関係に手を切った。そして、ラビー自身もどういうわけか世話役をやめ、姿をくらませてしまった。


「さー、もうすぐ始まるでー!ハルト、ステージに出た後は、頼んだで!」


「ハルち〜ん!今日もうちらの頑張る姿、よう見ててな〜!あ、惚れたらダメだからね」


「…U-4は、まだまだこれから大きくなる」


「はい!」


                  (終)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ