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僕が1番まともです?異世界転生したら特性バリバリのアイドルグループの世話係でした  作者: めんだCoda


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第23話 女性の声…?

「…おい、ユウヤとは連絡取れたのか?」


 練習室内で必死に電話をする僕の背後に立ったアダムが、心配そうな表情で僕を見つめる。


「いや、それがまだ……」


 昨日、AAZが同じグループになったと知った後、ユウヤはすぐに体調が優れないと言い早退した。そして、翌日の今日も練習室で新曲の練習なのだが、ユウヤは時間になっても来ておらず、また連絡もつかない。


(ユウヤさんが時間通りに来ないなんて、今まで一度もなかった…昨日の早退から様子も変だったし、やっぱり考えられる原因はAAZか…)


 僕は、自分のスマホをギュッと力強く握りしめる。


(だとしたら、僕のせいだ……)


 雑誌に掲載されたナオトの写真の騒動で、U-4のグループの今後と活動を思案した僕が事務所に提案したこと、特性を隠さないグループとして活動していくことが、事務所に受け入れられたと思っていた。


(でも…事務所は別サイドから他のグループ…しかも、U-4とはそりが合わないAAZを引き抜いたんだ。事務所は納得したんじゃない、おそらく今後の活動を考えてU-4に見切りをつけたんだ…)


 考えれば考えるほど、頭の中がグルグルとそのことで支配され、発狂しそうになり気が狂いそうになる。


「…ハルト、触るぞ」


 アダムが背後から僕の胸あたりに腕を絡めると、僕の身体を優しく抱きしめる。


「ア、アダムさん…!」


「…難しい顔をしてる。あまり、考え込むな。無意味だ。考え過ぎると、そのことに囚われすぎる」


 アダムはその広くて鍛えられた大きな体で、すっぽりと僕を抱きしめる。自分の行動における反動で、不安と恐怖と後悔に苛まれていた僕は、アダムに抱きしめられて気持ちが落ち着いた。


(…抱きしめられてると、何も考えなくて済むな…)


 抱きしめられている強さもちょうど良いのも相まって、昨夜なかなか寝付けなかった僕は、ウトウトしてしまう。

 すると、僕の表情を見ていたアダムが、抱きしめていた手を滑らせ、優しく僕を抱き抱える。


「わわっ…!アダムさん、そのっ…!」


「…寮に一緒に戻って寝るか。俺も寝不足だし」


 すると、トイレから戻ってきたリュウとナオトが練習室のドアを開けたあと、僕とアダムの姿を目にして固まる。


「あ…お2人とも、お帰りなさい〜…」


 抱き抱えられた僕が手を振ると、リュウとナオトがものすごい形相で全力で駆け寄ってくる。


「2人何してんねん!」


「アダムっ!ハルちんに、そう簡単に触れんときやーっ!」


 僕を抱える腕や手をリュウとナオトに叩かれたアダムは、ゆっくりと腰を屈めて僕を床に下ろす。


「…叩くな。ハルトが怪我したらどうするんだ」


 滅多にみないアダムの怒った目つきに、リュウとナオトがたじろぐのが分かった。

 すると、アダムが僕の方に向き直り、僕の頬にそっと触れる。


「…また今度、今日の続きを」


 そう言ったアダムは、僕の唇にそっと触れると微かに微笑む。


「ちょっと待ちーや!なんや、急に接近しとるやんけ!それよりハルト、ユウヤとまだ連絡つかへんのか」


「はい、先ほど寮にも行ったのですが部屋には不在でして…ユウヤさん、どこに行っちゃったんでしょうか…」


 話しながらも、僕の頭にはある光景が浮かんでいた。スマホをよくいじっていた、ユウヤの姿だ。スマホを見るときは、よく嬉しそうにしていたユウヤ。


(…い、いやいや、まさか、ユウヤさんに限ってそんなことは…)


 すると、僕のスマホが鳴り画面を見ると、


「あっ!ユウヤさんからだ!」


 僕の言葉に、アダム、リュウ、ナオトは黙って僕の方へ注視する。


「もしもし!?ユウヤさん!?大丈夫ですか!?体調悪いんですか?!」


「ああー、だーい丈夫だよ。元気ーだよ。心配させて、ごめーん、ハルト」


(…?なんかいつものユウヤさんと違って、妙に間延びする話し方だな)


 話し方に多少の違和感はあったものの、とりあえず連絡がついたことに安堵する僕。


「ユウヤさん、今どこにいるんですか!?今日練習日ですけど、これから来れますか?」


「…あー…練習…これから行くよ。遅れるけど」


 初めて聞くユウヤの気だるそうな声色に、僕は胸がザワめき、アダム、リュウ、ナオトに視線を向ける。


「分かりました。それでは待っていますので…気を付けてきてください」


「うぃーっす」


 通話を切ろうとしたときだった。


 クスクス


 微かに、誰かが声を顰めて笑うのが聞こえた。


「えっ……?」


(今の声…女の人…)


「大丈夫?ハルちん?顔色悪いけど」


 見てわかるほどに不安な顔をしていたのだろう、ナオトが僕の顔を両手で包み込み顔をじっと見つめる。


「…あ、えっと…」


 スマホを見るも通話は切れており、何も証拠がない。


「大丈夫…です…。すみません、ちょっとトイレに…」


 僕はナオトからサッと離れて、1人練習室から出る。


(あの声は、僕の聞き間違い…?いや、でも確かに聞こえた…。それに、ユウヤさんの最近の行動の違和感も…女性がいたなら、全てが繋がる…)


「うそだうそだ、ユウヤさんに限ってそんなことあるわけない——!」


 僕はトイレの個室に入ると小声でそう呟き、頭を抱え込む。

 すると、誰かが入って来た音がして僕は息を潜める。


「はーーーああ、ったくかったりーなー。マジもう辞めてーー」


「おいルカー、いくら給料良くなるからっていってもさ、前の事務所のがよくね?新しい建物だし食事も豪華だったしさ」


(ルカ…AAZのメンバーか)


 僕は物音立てずに、聞き耳を立てる。


「仕方ねーだろ!どうしてもって頭下げて金積んできたんは、ここの社長なんだからよー。あの金の量見て、お前らも移籍同意したんだろーがよ!」


「そうだけどさー、てか、昨日その話したのまずくね?名前なんだったっけ、U-4のあいつ」


「あーー、ユウヤだろ」


「そーそー!ユウヤ!あいつにさー、ルカが金のこととか話したの、マズかったんじゃね?一応、口止めされてたじゃんー?」


「まあそうだけどさー、ユウヤがなんで移籍して来たのかしつこく聞いてくるからさー、めんどくなって、つい言っちまったよ」


「ははは!あのときの、あいつの顔、すごかったよなーー!」


 笑いながらトイレから出ていく2人の声が、遠のいてもまだ聞こえてくる。


(ユウヤさん……!)


 ユウヤの気持ちを考えた途端、僕は胸が締め付けられた。

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