第16話 大賞を取ったのは……
「大賞はーーーー!、U-4!!U-4の皆さん、どうぞ前のステージへとお越しください!!」
盛大な拍手と音楽で盛り上がった会場に、U-4は喜びを隠さずに満面の笑みでステージへと上がり、その様子を僕は下のフロアのテーブル席から見守る。
(良かった…!色々あったから、もしかしたら取れないかもって、少し頭をよぎったけど、結果はやっぱりゲームの通りでU-4が大賞だ!!)
僕はガッツポーズをしていると、急に後ろから耳元近くで話しかけられた。
「良かったなあ。大賞取れて」
ねちっこい喋り方に驚き後ろを振り返ると、そこには人間グループのAAZのルカがニヤニヤしてこちらを見ていた。
「…ありがとうございます。ルカさんの方からわざわざ来てくださるとは…意外でした」
「何言ってるんですか。俺らだって、賞を取ったグループには、きちんと敬意を示しますよ。それに、ライバルには活躍してもらわないと、ね。——で、主催者側にお金はいくらくらい積んだわけ?」
「…はい?うちはそんなことは、していません」
「ふ〜ん。まあ、隠してもいずれ分かるさ」
ニタニタと笑うルカに怒りが沸いたが、ステージを降りてきたU-4の4人が近づいて来たのに気づき、僕は拍手と笑顔で4人を出迎えた。
◇◇◇
「あ〜〜〜疲れたぁ」
寮へ戻る車中で、ナオトが伸びながらあくびをする。その様子を見たユウヤも、両手を上に伸ばす。
「それでも、まさか大賞取れるとは思わなかったから、本当嬉しいなあ」
ユウヤの横に座るリュウは、足と腕を組み鼻からフンと息を出す。
「なんやユウヤ、俺らのパフォーマンスは最高だったやんけ、取れて当たり前やぞ。な?アダム」
「ああ。パフォーマンスもできて食事もできて仮眠もできたし、あの音楽祭最高だった」
「ちょ、お前……突っ込みどころ多すぎるて…」
車内の後ろの席で和気あいあいしている4人をバックミラーで見ながら、僕はゲームのこの先を必死に思い返す。
(確か大賞を取った後は、凄まじい繁忙期に入ったはず。睡眠時間もかなり削られるスケジュールだったけど、大丈夫かな…それに、大賞を取った後は、人気のグループのまま突っ走って、エンディングに向かって進むだけだったから、この先は正直僕も分からないな)
「おーい、ハルトー、話を聞いてるかー?大丈夫かー」
「えっ!?あ、ユウヤさん、すみません、色々考え事していました!なんですか?!」
「明日のスケジュールを教えてくれるか?大賞取ったから、明日はご褒美に1日お休みとかだったら嬉しいんだけどな」
「あ、それはないです」
「あーーーー、て、ま、当たり前か」
「ねえ、ちょっと〜!ユウヤうるさい!ナオト眠いんだけどぉ!静かにしててくれる?睡眠取って肌の調子を整えないとなの!」
「あ、ごめんごめん。ちょっと興奮がまだ冷め切らなくてさ」
笑い合う4人の姿を見て、僕はホッとする。
(音楽祭りのときは、ちょっとピリピリした雰囲気になったけど、良かったいつもの4人だ)
明日は、練習室にて昼から新曲の練習と伝えて、寮に着くと各々の部屋に散って行った。
まさかこの最高な時間は、あっという間に奪われてしまうとも知らずに。




