第13話 密室で何を…!?
(そういえば、ナオトさん、なかなか戻ってこないな…)
心配になった僕は、ナオトを探しにフロアをこっそりと出てエントランスを歩き回るが、ナオトの姿はない。
「フロアもエントランスもいない…外には出られないから、そうすると……舞台裏…?」
舞台裏に行って隅々確認みるも、ナオトの姿はない。
(ここにもいないとなると、ナオトさんは一体どこに…?)
舞台裏を出ようとしたとき、階段横に設置されている、まるで電話ボックスの形のような縦に長細い小さな部屋が、カタンと音を立てた。
(ん…?)
なぜか気になった僕は、そのボックス型の部屋の前で足を止めて、その部屋を上から下まで見渡す。
すると、突然部屋のドアが開き、中から知らない男性が慌てた様子で飛び出してきて、僕は驚いて後ろに一歩下がる。その男性はアイドルまでとは言わないが、見た目はカッコ良かった。すると、その男性は僕に気が付いてハッと驚いた顔をした後、赤面して俯いてしまった。
「あ、あの…?どうしました、だいじょう…ぶ…」
声をかけたとき、その男性の後ろの電話ボックス型の部屋の中から、ナオトがゆっくりと出てきた。
「…え、ナオトさん…」
こんな所にいたんですね、探しましたよ、と声をかけようと思った僕だが、途中であることが頭をよぎり言葉を飲み込んだ。
(こんな狭い密室で、大人の男2人で何してたんだ…?)
なぜか胸騒ぎがして、僕は落ち着かなく2人を交互に見つめる。
すると、目の前の男性の肩から胸辺りに、ナオトが後ろからその長い指で触れ、最後に彼の顎をクイとナオトの方に向ける。
「いい?さっき言ったことは内緒だよ。あ、そうそう、あとちゃんと約束は守ってね」
そう言うと、ナオトは自分の唇を彼の頬にそっと当てる。
「…な……!」
突然の2人のキスに、僕は驚いたものの声に詰まる。
「じゃあね〜ん。よろしくね〜ん」
男性が頬を抑えて僕の横を走り去っていき、そのときに顔にかかった風で、ようやく僕も我にかえる。
「あっ…、周りに誰か人いない…か…!!?」
「大丈夫だよ〜。今は、この辺誰もいないからぁ」
「え、あ、本当ですか…なら、とりあえず良かった…のか…!?いや…というより、まず!ナオトさんは、ここで何やってたんですか!?」
「さっき言った通りだよ〜話したい人がいる〜ってやつ〜」
「…話したい人って、あの男性だったのですか…?さっきの方、首から関係者証下げてましたけど…。あの男性は、この音楽祭の主催者側の関係者なんじゃないですか」
「そうだよ〜。さすがハルちん、よく見てるね〜」
「あ、ありがとうございます…って!そんなことじゃなくて!関係者の方と、こんな密室で何してたんですか…!」
「なにって〜…それはもお〜ご想像にお任せします〜」
「ナオトさん!茶化さないでください!」
「別に茶化してへんで」
「ナオトさ…!」
急にナオトに口元を抑えられ、もごつく僕。
ナオトは横目でどこかを見ながら、聞き耳をたてている。
「…誰かこっちに人がくる。おいで」
ナオトに腕を引っ張られた先は、先ほど男性といた電話ボックス型の部屋だった。




