第4話 話し合い
「…そういやあんた、自分でタマって名乗ってるのね」
喋り続ける言葉を遮り、先程のタマとタウラの会話を思い出し、ジャックはなんとなく口にした。
「はい!ミラさんが付けてくれた、大切な名前です!」
タマは満面の笑みで答える。
「ふーん…」
なんとなく、面白くない。
この世界の住人は、種族名をそのまま名乗ったり、元いた世界での名前を使ったり、あだ名で通したりと様々だ。
そこに決まりはなく、完全に本人の自由だった。
「それで…あんた、その後ミラに会ったりしてないでしょうね?まさか変な事、してないでしょうね?」
一番気になっていた事を確認する。
今日町に来た一番の目的と言っても過言ではない。
「ここ一週間、ボクもバタバタしてましたからね。
なかなか会う機会がなくて…残念ながらあれっきりです」
少し残念そうに肩を落としながら、タマはスープを口へ運んだ。
残念がらずにそのまま一生会わないでくれ…と内心願う。
とはいえ小さな町だ。そんな都合よくいく気もしない。
ジャックはスプーンを置き、じっとタマを睨む。
「…あんた、またミラに変な事したら、私が許さないんだから」
少し声を低くして続けた。
「もうあんな事は懲り懲りだし、次の満月だって、私がどうにかするんだから。だから…何もしないで」
言いながら、自分でも随分無茶なことを言っている気がした。
相手はあのタマだ。言葉でどうにかなるようにも思えない。
それでも、釘を刺すくらいしか出来なかった。
話を一通り聞いたタマは、ふっと真面目な顔になる。
「…大丈夫ですよ、ジャックさん。ボクは今、こうして職も寝床も貰って、立派に暮らしているんです。もうご迷惑はお掛けしませんよ」
真っ直ぐにジャックの目を見つめたまま、続ける。
「それに満月の時だって、お腹いっぱいの人には流石に無理に食べてほしくないですからね。美味しく食べて頂くのが一番ですから」
…やはり、話が通じていない気がする。
同じ言葉を使っているはずなのに、まるで別の言語で会話しているようだった。
「そ、それに、そんな騒ぎ起こしたら、タウラさんにも迷惑掛けるじゃない?この町にだって住めなくなるかもしれないし…。だから…」
口にしてから、少し意地の悪いことを言ってしまった気がして、ジャックはわずかに視線を逸らした。
しかし⸺
「…?そうですか?」
こちらの意図に反して、タマはきょとんとした顔をしていた。




