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人の姿になった幻獣達が、不思議な世界で仲良くワイワイする話  作者: 土鳩
第1章 求めよ!さらば与えられん!
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第11話 置いてけぼり

⸺炎に身を投じたウサギは、その身を焼かれ、やがて一塊の肉となりました。


それを見た老人と動物たちは、彼の自己犠牲に深く心を打たれ、涙しながら、その命を無駄にはすまいと口にします。


⸺その一部始終を、天より見つめる存在がおりました。


やがて、空より柔らかな光が降りそそぎます。


それは静かにウサギの亡骸を包み込み⸺


焼かれたその体は、まるで時を巻き戻すかのように、元の姿へと戻っていきました。


『このウサギは、自らに差し出すものが何もないと知りながら、その身をもってもてなしとした』


『かかる行いは、まことに慈悲深く、尊ぶべきものである』


⸺そうして、そのウサギは月へ登り、悠久の時を過ごす存在となったといいます。


そのウサギの名は⸺











能天気なのか、物騒なのか。

目の前で交わされる会話に、ジャックはただ口をぱくぱくとさせるしかなかった。


(なに…? なんなの、この状況…!)


死んだはずのタマが、生きている?


では⸺あそこに横たわっている、あの肉塊は何だというのか。


思考が追いつかない。

ぐらり、と視界が揺れる。


(そもそもタマは…タマは何者なの…?)




「ミラさん!あぁミラさん!

ボクは今、猛烈に感動しています!」


タマは膝をつき、まだ座り込んでいるミラの両手を取ると、興奮した様子でぶんぶんと振った。


「まさか、食べていただいた方の口から!

ボクを食べてくれたその口から!

『おいしかった』という言葉が聞けるだなんて!」


いっそう手に力がこもる。


「ボクはもう!感無量です!」


きらきらとした目で、ぐっと身を乗り出す。


「ボクの、どこが一番おいしかったですか?

レッグ? ロース? ショルダー? バラ?

それとも内蔵系ですか?レバー? キドニー?」


そう言いながら、タマは自分の身体を次々と指差していく。


「あれ?」


ミラが小さく首を傾げる。



「⸺アタシ、タマちゃんを食べたの?」




その一言で、空気がわずかに張りつめた。


⸺もっとも、そう感じたのは、ジャックだけだったのだが。




「あぁ、そっかぁ〜」


ミラは間の抜けた声で、どこか納得したように頷ずき⸺


「だから、タマちゃんが迎えに来てくれたんだね?」


ニッコリと笑った。

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