高梨ここあ執務室で会議をします
執務室へ通されると、そこには紅茶とケーキが用意されていた
飛びつく勢いのペスコを嗜めつつ椅子へと座った
「少しヒヤヒヤしたが訓練ご苦労だった」
向かいの席に騎士団長が座ると労いの言葉を掛けてくれた
「私の心配をしてくれていたのですか?
有難うございます、私ならこの通り怪我一つありません」
騎士団長が笑った
「いやいや、違う違う貴殿の心配なんてしておらんよ
兵士達が生きてて安堵しているだけだ」
どいつもこいつも私の事を何だと思っているのでしょうか?
少し強いだけの17歳の少女ですよ
「失礼です!私も相手が怪我しないように手加減してます」
いやいや、という様子の騎士団長
1枚の紙を取り出した
「うむ、先程上がった報告書によると、1名左太ももに穴の空くほどの傷
2名脳震盪及び首の捻挫、4名は喉に喋れないほどの打撲
1名は顎の骨折・・・だそうだ
細かい怪我は省いてもこれだけ上がってきている」
あ、これ私が悪い感じ?やりすぎました?
「それで騎士団長、私をここに呼んだ用事とは何でしょうか?」
騎士団長が呆れ顔だ
「お前なぁ・・・まぁ良い訓練の事で攻めるわけではない
むしろ感謝している」
感謝?兵士達はMっ子さんかな?
「我が精鋭たる騎士団と戦ってみて、貴殿はどう感じた?」
戦った感想を聞かれているのかな、ここは正直に答えよう
「弱すぎますね、あれでは100人束になっても
私はおろかラプターやペスコに傷一つ付けられませんよ」
「貴殿はともかく、お嬢さん達も強いのだな」
あ、ラプターのお嬢さん呼ばわりすると・・・
「貴様、我が愛するここあ様に仕えしこのラプターに向かってお嬢様だと!!」
慌ててラプターを宥める
「ちょっとラプターこの人は仮りにも騎士団長です
揉め事は起こさないで下さい」
私が嗜めるとラプターはしぶしぶと椅子へ座った
「俺に対して仮にも騎士団長と言えるのはお前くらいだ」
騎士団長の言葉が段々と砕けてきた
私に対して最初は「様」とか付けてたのに
「ラプター殿も失礼した、お嬢様は軽率だった」
騎士団長が謝罪するとラプターはフンっと鼻を鳴らして
そっぽを向いている
この子もこの子で大概神経が図太い
「それで本題だが、貴殿の指摘する通り我々騎士団は弱い
だが、これでも少し前までは大陸最強の部隊だったのだ
それこそ、数年前までは貴殿も対峙した
サルビト連邦のカーグーンの策略を難なく退けていた」
騎士団長の顔が険しくなった
「冒険者の間では危険度指数という物があるな」
危険度指数は、大まかに魔物の強さを表した数字だ
野良ゴブリンで4~6ウルフで10という感じで強さを数字で表している
「我が諜報部が以前カーグーンの一人と対峙したそうだが
その報告によると危険度指数200以上という見積もりを立てたそうだ
本来魔物に定められた数字で人間には当てはまらないので
悪魔で目安だそうだがな」
なるほど、確かに私が戦ったハイウルフキングが危険度指数200と言ってましたから
あのインテリメガネはそれ以上にやっかいでしたもんね
「確かに騎士団長の言う通り私が戦ったカーグーンはハイウルフキングより強かったですよ」
「ふむ、貴殿が言うならこの報告書もあながち大げさでは無いのだろうな
そこでだ、カーグーンの急速な力の増強、誰か外の意思が関与しているように見え隠れするのだ」
「外の意思?」
私は首をかしげる
「うむ、例えば魔族とかな」
魔族!?まさか国家にまで入り込んでいるのでしょうか
「貴殿が戦ったクレン・バーという男は本来貴殿が言っていたスキルは使えないそうだ
物理攻撃を一切無効化するスキルは文献を当たってみたが
そのスキルは一つにしか行き着かなかった」
息を飲む
「なるほど、それが魔族という事ですね」
騎士団長がうなずく
「さよう、かの戦争で同じスキルが確認されている」
ふむ、とペスコが口を開いた
「あの者は未熟じゃったが、確かに魔族で使える者はおったのぉ」
騎士団長が怪訝な顔をする
「なぜ、ペスコ殿がそのような事を知っているのだ?」
するとドヤ顔のペスコが
「うむ、それは我はま・・・」
言わせるか!とペスコの口を塞いだ
「ムグムグ・・・」
「ははは、あの、その・・・ペスコは魔族の研究が得意でして」
必死に言い訳をする
ここは帝国のお城だ、こんな場所で正体が魔族だとバラしたらどんな事になるのか想像できる
「何だか良く分からんが貴殿らにも心当たりがあるのだろうな
それで、本題だがサルビト連邦に魔族が入り込んでいる事はほぼ確実
奴らは人間に化けることも得意としているからな
そこで貴殿らにはここ、帝国でも魔族が紛れてないか調査を願いたい」
「ええ!?」
高梨ここあ17歳この世界に来てそれなりに長くなりましたが、未だに平穏は訪れないようです




