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転生してもムショクでした ~無能と呼ばれた『無色』の魔導士は色に染まって無双する~  作者: 越水けい
赤の章

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四十話 黒の帝王


「奥義、廓然無聖かくねんむしょう!」


 ヒジリさんは白く光る刀でブラッドの体を斬る。ブラッドも獄炎で身を守るが、攻撃はそれを貫通した。


 ブラッドの体から血が噴き出る。


「聖の魔法か。黒を浄化する魔力だな」


 ブラッドは槍をヒジリさんに向けると、淡々と唱えた。


「紅蓮」

「雪嵐!」


 ブラッドの詠唱と共に、ヒジリさんも雪の魔法で炎をかき消す。辺りに湯気が立ち上る。


「灼熱」


 ブラッドは槍を回転させ、周囲に熱風を起こす。その熱気は俺たちにも伝わり、服や木でできた家屋も発火し始める。


 ヒジリさんはすぐにブラッドから距離を取ると、再び高速で間合いを詰める。


「奥義、光陰如箭!」


 凄まじい熱気の中、ヒジリさんの連撃がブラッドに放たれる。その攻撃をブラッドはわざと受けるているように見えた。彼の体からは大量の出血が見られる。あの量の出血をしたらまともには動けないはずだ。


「我は攻撃を受け、血を流す度に強くなる。忘れたか」


 ブラッドは出血をものともしていないようだった。彼の血は彼の体の表面で急速に固まり、血色の鎧となった。自分の血を操る魔法を使えるのか。


「相変わらずしぶとい奴め」


 ヒジリさんは尚も高速で攻撃を続けるが、ブラッドも華麗な槍捌きでそれを防ぐ。


「悪いが今はうぬに用は無い。我は無色を貰いに来た」

「何?」


 ブラッドはそう言うと、俺に目を合わせた。


「来い。朱雀」


 彼が呼ぶと空から大きな赤黒い鳥が現れた。


「何をする気だ!」

「うぬを陛下の元へお連れする。ヒジリそしてサクラ髪。俺を倒したくばエリアレッドに来ることだ」


 ブラッドは俺を掴む。俺はブラッドの腕を斬るが、傷は直ぐに固まって塞がった。


「離せ!」


 俺は必死に抵抗するが、ブラッドに朱雀に乗せられてしまう。


「奥義、光彩奪目!」


 ヒジリさんは飛び立つ朱雀に向けて光の一刃を放つ。


「煉獄」


 ブラッドもそれに対抗し、炎の一刃で光の刃を焼き尽くした。


「案ずるな。すぐに着く」


 俺はブラッドに押さえつけられながら、エリアホワイトを抜け、帝国の外まで連れ去られていく。





「くそ! トオルが連れ去られちまった! 来い! 白鷺! 朱雀を追ってくれ!」

「了解した」


 父さんが叫んでいる。白鷺は勢いよく飛んで行った。

 私も焦っていた。トオルが連れ去られていくのに、何もできなかった。


「どうしてブラッドが……」


 私は悲観のあまり、現実を直視できていなかった。


「ヒジリさん! テツジさんを助けてください!」


 鍛冶屋からフブキが出てくる。テツジさんも大変なのかしら。


「すぐに行く!」


 父さんが鍛冶屋に駆ける。私はどうすればいいのだろう……


「ヒジリさんでも勝てない相手など初めて見た。トオルのことは信じるしかないだろう」


 私の横にいるリツが呟いた。


「うん……」


 どうしよう。これでトオルが帰ってこなかったらどうしよう……私はまた大事な人を失うの? そんなの、嫌だ。





 俺は帝国の外にある荒野に降ろされた。俺の目の前には長髪、長身の女性が立っていた。髪と瞳の色は黒い。この人が黒の帝王?


「よく連れてきてくれた。有難うブラッド」


 女性が声を出した。彼女はブラッド同様、年齢と中身の言動が噛み合っていなかった。二十代ほどの見た目なのに、中身はそうは思えないほど落ち着いている。


「礼には及ばぬ」


 ブラッドは調子を変えずに淡々と言う。


「お前が黒の帝王か?」


 俺は恐る恐る口を開く。彼女からは、深い魔力というよりは少し違った異質な魔力を感じていた。これまでに感じたことのないものだ。いや、しいて言えば御子やベルセルクに少し似ているか。


「いかにも。私が黒の帝王だ」


 黒髪の女性、黒の帝王は俺に微笑みかける。


「どうして俺に会いたがっていたんだ」

「それは君が無色の魔導士だからだよ」


 黒の帝王は調子を変えずに話す。俺の噂はもう黒の帝王まで届いているのか。


「俺が無色の魔導士だからどうしたって言うんだ」

「私も無色の魔導士だ。私は君との子供が欲しいんだよ」




「――は?」


 意味が分からない。無色の魔導士が二人? どういうことだ。黒の帝王も転生者だって言うのか?


「意味が分からない」

「そうかな。君はこの世界の住人じゃない。そうだろう?」


 黒の帝王は髪に触れながら首をかしげる。

 

「確かにそうだ。俺は地球のある世界の日本から来た」

「日本……地球……そうか。君はどの辺りで転生したのかな。やはり江戸かな?」


 何を言っているんだこいつは。江戸って言ったら今の東京のことだろうけど、東京のこと江戸って呼ぶ奴は現代にはいないだろう。いるとしたらよっぽどの歴史好きか、それか……本当に江戸時代の人か……まさか。


「もしかして、お前、江戸時代の人間なのか?」

「江戸時代? よく分からないが、私は江戸で一度死に、この世界に転生した。分かった。君とは住んでいた時代が違うのか」


 黒の帝王は一人合点が言った様子だ。待て。俺を置いていくな。


「じゃあお前がこの世界に転生したのって……」

「ざっと二百年前だ」


 また黒の帝王は笑う。参ったな。異世界に来て江戸時代の人と話すことになるとは。それも、敵の大ボスだ。

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