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転生してもムショクでした ~無能と呼ばれた『無色』の魔導士は色に染まって無双する~  作者: 越水けい
黄の章

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三十一話 戦帝降臨

 

 サーナーとダッデムは、コロシアムの外でアカリを探していた。


「この人ごみの中で知り合いでもない奴を探せって言われてもなぁ……」

「しゃあねぇよ。ダオーラさんには逆らえねぇ」


 そんな二人の前に、フードを被った大柄な男が現れる。


「お前たちは……レンジャーか?」


 男が掠れ声で話しかけてきた。


「ああ。そうだぜ。エリアイエロ―の五人衆と言ったら俺たちのことよ」

「じゃあ、強いんだな?」

「そりゃ当たり前だ。何なら戦うか? 俺の速さについてこれるかな?」


 サーナーがフードの男を挑発する。ダッデムはやめておけ、と彼を諫める。


「良いだろう。強さこそが正義ジャスティスだからな。二人同時でもいいぞ」


 その言葉にダッデムもカチンときたようで、二人同時にフードの男に殴り掛かる。


「舐めやがってぇ!」

「――グォッ」


 次の瞬間、二人は強大な重力によって地面に叩きつけられていた。


「弱い。弱い……ライガル、お前の弟子はそんなものなのか? まだまだパワーが足りない……」


 攻撃の衝撃によって起きた風で男のフードが剥がされた。


「お前は、まさか……先代マスターの……バラン・クリムナガル……堕落したはずの奴がどうして……」


 ダッデムの顔が青くなる。


「約束を果たしに来たんだよ。俺の弟子、ライガルとのな」


 そう言ってバランは二人の首を持ち上げ、コロシアムに向かった。




 コロシアムでは、リツとトオルの戦いが続いていた。


「いつも思うんだが、お前には魔力容量の限界は無いのか?」

「あるとは思うけどまだ感じたことは無いかな。多分人とつくりが違うんだと思う」


 拳同士がぶつかり合いながらも、両者一歩も引かない状況だった。


「なら、魔力切れを期待しても無駄か……」


 リツは一度トオルを蹴って距離を取る。


「雪景色」


 リツは再びコロシアムに雪を降らせた。


「俺は寒さに強くもないけど弱くもないぞ」

「雪があれば俺が魔法を使いやすいんだ。行くぞ。雪礫! 雪嵐!」

「連続で魔法を出した! ここに来て勝負を決める気か?」


 司会の声が聞こえる。連続魔法は食らったことがなかった。俊歩と潜海を使えば何とか避けれるか……?


「これが俺の集大成だ。千羽鶴・風花雪月!」


 こいつ、俺に勝つためにそこまで? まずい、想像以上だ。奥義を出さないと負ける……!


「奥義……っ!」


――その瞬間、俺の背後に悪寒が走った。この感覚、ネイビーにいたときにも感じたものだ。まさか、ここに黒の魔導士が? って、まずい。このままじゃ、リツの攻撃が……


「何故途中で技を撃つのをやめた?」


 リツも俺が技を撃たないことに気づき、直前で技を止めた。


「――来る」

「何がだ!」

「膨大な黒の魔力。多分、七戦帝……!」


 そのレベルじゃないと俺が魔力を感じることは殆ど無い。テイマー程度の魔力では反応出来なかったからだ。

 次の瞬間、観客席から、大きな音が聞こえた。何者かが建物を破壊した音だった。


「弱い。弱すぎる。いつからここの奴らはこんなに弱くなった? なぁ教えてくれよ。ライガル」


 そこには、サーナーとダッドムの体を手に持った大男の姿があった。こいつが悪寒の正体か。


「サーナー! ダッドム!」


 騒ぎを聞きつけてラトゥールとダミニがコロシアムに出てくる。


「ラトゥールさん……すみません……」


 サーナーは呻くようにして言った。バランは二人を手から離す。


「あんた、何勝手な事してんのよ!」


 その隙に観客席からダオーラが果敢にも大男に挑む。


「邪魔だ」

「ダオーラ!」


 しかし、その攻撃も敢え無く防がれ、逆にダオーラは吹き飛ばされてしまった。ライガルもその姿を見て叫ぶ。


「強さこそが正義ジャスティス。勝者こそがルール。ずっとそう教えてきたはずだが……」

「あんたの教えよりも大事なことを見つけたもんでな。バラン。みんな、逃げろ。こいつは俺の敵だ。俺が勝負をつける」


 ライガルは司会席からコロシアムに入ると、観客たちに避難を促す。観客たちは半分パニックになりながら逃げ始める。


「そうしたいところだが、俺の他にも邪魔なものが付いてきているみたいだ」


 バランはそう言って後ろを見上げる。そこにはガンナーと、大剣を持った魔導士の姿があった。


「邪魔なものとか言わないでくださいよ。あなたも黒の帝国の一員でしょう」

「誰を、狩ればいい?」


 二人はその声と共に前に出る。


「お前たちは、直属部隊……!」

「そうだ。俺は第二大隊長のベルセルク。お前の身柄を貰いに来た」


 ベルセルクは俺に大剣を向ける。


「俺の身柄?」

「お前が拒むなら、俺は君の友人を殺すことになるだろう」

「どういうことだ!」

「俺は魔界と自由に繋がることが出来る。その力を使って、アカリという魔導士を魔界に閉じ込めた。このままなにもしなければ、彼女は魔界で魔獣に食い殺されることになる」


 ベルセルクは、一瞬だけ気を失っているアカリを召喚すると、すぐに魔界に戻した。いつの間にアカリが敵の手に。許せない。


「それが嫌ならば、大人しく俺たちに付いてくるんだな」

「それが嫌だと言ったら?」

「その選択権はお前には無い」


 ベルセルクのただでさえ悪い目つきがさらに悪くなる。ガンナーも俺に向けて銃を構える。


「なら団体戦と行こう。そっちの魔導士全員対、俺たち三人。本当の祭りの始まりだ」


 俺たちの様子を見てバランが宣言する。俺たちは、俺の他にリツ、フブキ、ダミニ、ラトゥール、ライガル、そしてティムールの合計七人。対して敵はバラン、ベルセルク、ガンナーの三人。これまでにない規模の戦いになることは明白だった。ただ、俺たちが勝つためには数の有利を生かすしかない。


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