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転生してもムショクでした ~無能と呼ばれた『無色』の魔導士は色に染まって無双する~  作者: 越水けい
黄の章

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二十九話 激闘の二回戦


 一回戦が終了し、休憩時間も過ぎ去った。アカリが観客席にいないことに少し違和感を覚えつつも、俺は二回戦に向けて準備をしていた。


「さて、一回戦が無事終了しましたね」

「最初の試合以外は順当な結果ってところだな。これからさらに熱い戦いを期待したいぜ」


 司会とライガルもいつもの調子だ。


「では早速二回戦、準々決勝の方に参りましょう。準々決勝第一試合は、ダークホースの無色魔導士、トオル対、エリアグリーンからの挑戦者、ティムールです! 期せずしてレンジャー選抜同士の対決になりました!」


 その言葉と共に、俺とティムールが入場する。


「また神速超えを見せてくれるのか? 楽しみだな」

「いや、あれはもう使わないよ。代わりにティムールの魔法を見せてくれると嬉しい」

「コピーをする気だな? まぁいい。そうさせてもらおう」


 ティムールは優しく笑うと、深呼吸をして、集中に入る。俺も身構える。


「試合開始!」


 試合開始と同時にティムールは手元に緑色の弓矢を構える。


「魔力で武器を作っただと?」

「フォレストスナイプ」


 ティムールの弓から、五発の矢が放たれる。俺は潜海と俊歩を使って矢を避けながら彼との距離を詰める。矢が着弾した地点からは、木が生えていた。


「初戦でも見たが、速いな」

暴流渦潮ウィアリングタイズ!」

「藍の技だと?」


 俺は手から渦潮を出現させ、ティムールを巻き込む。ティムールは吹き飛ばされ、地面に転がり込んだ。



「危ないところだったな。治癒ヒール

「回復魔法?」


 彼の体に緑色の光が現れたかと思うと、彼の傷は殆ど無くなっていた。


「俺もただでは負けないさ。フォレストスナイプ・スェリル!」


 さっきの何倍もの数の矢がティムールの弓から放たれる。俺は必死に避けるが、ホーミング性能がある様で、数発食らってしまった。大木が殴りつけてきたようなダメージが俺を襲う。


「トオルの神速を貫いたぁ!」


 司会が盛り立てる。観客たちも初戦の俺を舐めていたムードと違い、大興奮の様だ。


治癒ヒール


 俺は早速ティムールの魔法を使って傷を癒す。全身のむち打ちのような感覚が、一瞬で消え去った。想像よりも治癒の力は絶大みたいだな。神様、調整間違えただろ。これ。


「それが無色の力か……無闇に治癒を使うべきではなかったな」


 ティムールは大量の魔力を使って少し疲弊気味か。


「ともかく、今度はこっちの番だな。嫩葉どんよう!」


 俺は先程補給した緑の魔力と白の魔力を組み合わせ、若葉の嵐を作り出す。


「ドレイン」


 ティムールがそう言うと、若葉の嵐は勢いを削がれ、消されてしまった。名前から察するに、敵の攻撃を吸収して回復する技か。


「おおっと、トオル渾身の技が吸収されてしまった!」

「こりゃ長い戦いになりそうだな」


 ライガルは早くも祭りの進行の心配をしているようだった。確かに、このまま両者が回復し続ければ泥沼化は必至だ。


「な、しまった!」


 直後、有利なはずのティムールが頭を抱える。その理由が俺には分かっていた。俺の前でドレインという強力な魔法を使ってしまったからだ。俺にとって、『ピンチはチャンス』はそのままの意味で実現される。相手が強い魔法を使った時こそ、俺の好機になる。


「枝桜!」


 俺はサクラ色の魔力と緑の魔力を組み合わせ、ドレイン効果を追加した桜吹雪を起こす。流石にティムールもひとたまりもないようで、降参を宣言した。


「トオルがドレインを使って仕返ししたぁ! 試合終了です!」

「派手な試合だったぜ。トオルとは俺も戦ってみてぇな」


 会場が湧く。黄色の魔法ばかりのこの祭りで、俺たちは随分と彩のある試合をしていたからな。


「そうなると思ったぞ……だがいい試合だった。ありがとう」

「こっちこそ」


 俺はティムールと握手を交わすと、控室に戻る。


「さてさて、次の試合は、クールな紙使いリツ対、五人衆、『連撃』のダッドムだ!」


 そういえば次の試合はリツか。見て行こうかな。


「へぇ。お前、あの無色のお供かよ。サーナーの仇は取らせてもらうぜ」

「お供だと? あいつは俺の宿敵だ。勘違いするな」


 ダッドムの挑発に、リツは相変わらずの返事をする。


「試合開始!」


 その掛け声で、コロシアムに再び歓声が響き始める。どうやらダッドムを応援する声が多いみたいだ。


「言っておくが、俺の連撃は素人じゃ逃れられないぜ?」

「物は試しだ。紙吹雪!」

「効かねえ! ロックフィスト!」


 ダッドムは宣言通りの強さを見せ、リツの紙吹雪を全て殴り飛ばした。五人衆って強かったんだな。明らかにモブみたいな顔してるけど。


「紙手裏剣!」


 リツは大きな手裏剣を放つが、ダッドムは硬化でそれを防ぐ。しかしリツはその隙を見計らって間合いを詰める。


「千羽鶴!」

「甘いなぁ! ロックフィスト、五連撃!!」


 ダッドムは高い反射神経を生かしてリツの攻撃に反応すると、圧倒的な速さで連撃を打ち込んでいく。これはまずそうだぞ。リツはダッドムに蹴り飛ばされながらも、立ち上がる。


「俺の連撃を食らって立つたぁ良い根性してんじゃねぇか。けど次はねえぜ」

「安心しろ。お前に次は無い。雪景色!」


 リツは調子を崩さずに、魔法を詠唱する。雪景色、フブキが使ってた技だったけどいつの間に覚えてたのか。


「おぉっと? コロシアムに雪が降ってきました!」

「エリアイエローは冬でも熱いからな、俺たちは寒さは苦手だぜ」


 ライガルも寒そうにしている。


「くそ、凍えて体が動かねえ……」


 ダッドムも凍えている。上半身裸であるが故の弱点といえよう。

 リツは架空の刀を構えるようにして彼に近づく。


「千羽鶴・雪嵐!」


 千羽鶴と雪の合わせ技の前に、体を動かせないダッドムは成す術もなく倒れた。


「ダッドム、寒さの前に倒れる! リツの勝利!」

「リツ、勝ったみたいね。安心したわ」


 不意に俺の後ろからフブキが現れる。後方彼氏面、いや、後方彼女面とでも言うような面持ちで彼女は佇んでいる。


「あの技、フブキが教えたのか?」

「そ、そうよ。リツがどうしてもっていうから。同じ魔法を使ってるからって変な勘違いされないといいけど……」


 俺は『それは多分杞憂だよ』という言葉を飲み込み、それとなく頷いて同意する。


「じゃあ次は私の試合だから行くわね。トオルもお疲れ様」

「うん。フブキも頑張って」


 彼女もいつも通りの少し気取った様子のままコロシアムに入っていった。



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