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クレヨンしんちゃん劇場版について

 クレヨンしんちゃんの映画が結構好きなのでそれについて書いとく。

 ネタバレ注意。


 クレヨンしんちゃん劇場版は、作品の温度差が激しいが、それでもある程度は型がある。 


 自由度が高い型なのでガラッと変わるだけなのだ。


 基本構造としては、まず春日部などの「しんのすけがいる地域」かかすかべ防衛隊や野原家などの「しんのすけの所属する集団」にトラブルが起こる。

 そしてそれを掘り下げていくと、だいたいとんでもない事が起こっている。放置すると世界がやばかったり、家族が離れ離れになるような出来事が。

 そしてしんのすけは「トラブルに巻き込まれるきっかけ」「トラブルを解決する意思や手段」のどちらか、あるいは両方を持ち合わせている。戦国のときはきっかけ「過去に戻ってしまったので現代に戻りたい」がそう。


 そして、そのトラブルの解決を望む人間――すなわち、相棒や案内役、ヒロインが現れる。その人により、トラブルの全体像と、何をするべきかが明確にされる。ユメミーワールドであればサキであるし、黄金のスパイであればレモンである。 


 大抵の場合、トラブル解決に最も早く動くのがしんのすけである。そして、しんのすけが動く場合、野原家は「親として息子が戦うのを黙って見てられない」という理由で参戦するし、かすかべ防衛隊はまずぼーちゃんが最もしんのすけに近いメンタルの強さであるため、解決に賛同する。そして自己保身や世を捻くれて見ているネネちゃんや風間くんは、正義感や善意に加え、結局自分たちが動かないと助からないことを察して同意する。ネネちゃんあたりが賛同すると、置いていかれるのが嫌な風間くんやまさおくんは着いてくるし、なんならネネちゃんが脅してまさおくんも巻き込まれる。こうしてかすかべ防衛隊が参戦する。


 かすかべ防衛隊はギャグ補正で園児にしては圧倒的な身体能力、反射神経、機転とチームワークを有している。これにより五人で動くと大抵大人を翻弄する。

 一方で園児らしい「詰めが甘い」「罠に弱い」「バラバラになるとすぐ捕まる」といった弱点もある。


 敵対者?に多いのは

1.悲しい過去や事情があって、空回りしている

2.やってることが一から十までアホらしいやつ

3.がっつり悪だが酷い目にあって退場する。コミカルな部分もある

4.そもそも悪ではない


 あたりである。

 1の例としては、モーレツオトナ帝国やB級グルメサバイバー、ユメミーワールドの父親など。ラストが感動するタイプはこれが多いし、終わり方も綺麗にまとまってることが多いかなぁ。


 2だと踊れ!アミーゴ!あたりだろう。サンバ踊らせたらなんになるんだよ……クローンとすり替えるのはやばいけどもっと使い道あったろ……サンバを聞くと踊り出すとかわけのわからん設定つけたせいですぐにバレるし。

 あとジャングルのパラダイスキング。猿をしたがえて南の島で暮らすのはわかる。でもそれを世界に喧伝して何になる……猿と人集めても近代の軍隊には勝てへんやんけ……


 3だとブリブリ王国の秘宝や宇宙人シリリの父親、カンフーのブラックパンダなどだ。金とか世界征服とかのために、人を洗脳したり攫ったり赤ん坊にしたりと目的と手段が「悪いね!」って言えるのに、豚になってツボに封印されたり子供の世話に手間取って帰ったり、洗脳光線受けてアホになったりしてる。


 4はサボテンや失われたひろしなどの「原因が人間ではない」例や宇宙のプリンセスにおけるひまわり星人「最初から最後まで善人」、戦国大合戦における「当時は普通」などがそうだ。異色の作品になったり後味が不思議な雰囲気になる。あと敵以外のところにドラマを置くこともある。



 敵対者ではないが、当初は敵側にいるが寝返る役柄というのもそれなりにいる。 

 ちなみに最速でシリリ。侵略者としてきておいてストーリーの半分は一緒に旅行、普通にしんのすけの友達になってるあたり。

 あとサボテンの町長は邪魔者から「とりあえず改心して協力したから罪については許すか……」ぐらいにまでは回復する。

 タマタマ大作戦では悪役レスラーが「俺には悪役は向いてねえよ」と攫ってきたひまわりを人質にとらずに返して寝返るシーンは良いシーン。



 テーマとしては「家族愛」「友情」「正義」当たりが特に多い。故に家族を引き離そうとする存在が悪として描かれたり、「子供は親(大人)の言うことを聞いておけ!」という大人や親が悪として描かれやすい。

 子供向け番組であるが故に、子供が「親は子供の気持ちを理解せずにあれやれコレやれという」と思う不満を悪役として昇華しているのだろう。また、それの対比としてひろしとみさえが「親は子を無条件で愛し、命がけで守るものだ。家族の幸せが最上級の幸福である」といったスタンスである。


 友情はかすかべ防衛隊やその周辺で描かれやすい。ヤキニクロードは設定としてはガバガバだが、日本全国が敵に回っても、かすかべ防衛隊だけはしんのすけの味方なのか……と思えるシーンはとても良い。たとえそれが園児だからその意味を十分に理解してなくとも、だ。また、しんのすけは基本的に善悪の嗅覚がフラット(自分への利害をあまり考慮していない)ので「悪人では無いが悪事を犯したり、周りに迷惑をかけている」みたいな存在に対して、かなり無条件で赦しと救いを与えようとする。ユメミーワールド、ラクガキングダムなどがそうだろう。その過程で救われた存在と仲良くなることも多い。


 正義とはそもそも、クレヨンしんちゃんの映画が先程述べた構造である以上、恐ろしい相手に園児や一般家庭が突っ込むとどうしても正義に偏る。

 相手は社会を乱したり、罪なき人々を何かに苦しめたりするわけだから。解決すればヒーローだ。


 それはそれとして、しんのすけにとってのヒーローが「アクション仮面」「カンタムロボ」「ぶりぶりざえもん」の3択であることから彼のヒーロー像がうかがえる。


 まず、「平和を自ら乱す者が悪であり、悪に立ち向かい、諦めず、最後には勝つのがヒーローである」というのが一つ。ここで「自ら」としたのは、上に述べたように「望まない形で平和を乱した」存在に対してしんのすけはとても寛容である。黄金のスパイにおけるレモンちゃんしかり、3分ポッキリにおける怪獣しかり。

 逆に雲黒斎――ジョコビッチや、ハイグレ魔王といった「悪いことをしようとして悪いことをしている」相手は議論の余地なく悪としている。


 次に「ヒーロー」とは「見守ってくれるもの」も含まれている。ぶりぶりざえもんはしんのすけ自ら作り出したヒーローであるが、ぶりぶりざえもんは決して「正義のために積極的に戦う強い存在」ではない。

 カンタムロボやアクション仮面が強いのに対し、ぶりぶりざえもんはおおよそ戦うための力を与えられていないのだ。しんのすけいわく「救いのヒーロー」であるが、それは「ずるくて、弱くて、普通の存在が人と共に生きようとして善意をもった結果、満足感を得ることもある」とか「本当に困った人がいた時に、その満足感のために手をさしのべられる」とかそういう行動が多い。


芋の中での評価

※ネタバレ注意


尖っててかつ良い

・ユメミーワールド

・宇宙のプリンセス

・天かす学園

・戦国

・オトナ帝国

▶構造やコンセプトが尖ってて、見た時の雰囲気が全然違うけど見終えてみたらやっぱくれしんやな、みたいな作品群。


スタンダードにくれしんらしくて楽しめる

・ラクガキングダム

・ブタのヒヅメ大作戦

・嵐を呼ぶジャングル

▶かすかべ防衛隊が出てきて、家族とかすかべ防衛隊みんなでアクションするシーンがあって、外部に悪役とかがいたり、しんのすけに大事な命運が託されてたりするタイプの話。爽快感があったり、ギャグが多いのも特徴。


微妙だった、人を選ぶ

・ヤキニクロード 

 洗脳装置のキーワードが野原家の会話、というのはいいんだけどタイトルの「ヤキニクロード」が事件解決して焼肉食べたいからみんなで頑張る、ってとこで本編の洗脳装置とかと全然関係ないのがもったいなかった。あと悪役の動機がちんけでギャグなのは多いけどその中でもこれはトップクラス。温泉旅館閉館の復讐のために日本支配できるような企みをするな……熱海どころの話じゃねえ。というか「マスコミを通じて野原家を指名手配できる」ぐらいの力があるならその力で温泉旅館をちゃんと経営しとけばよかったろ……みたいな。目的と手段が逆転してる。


・カンフーボーイズ

 アクションシーンは面白かった。マサオくんが活躍して成長するのも良い。舞台が中華街で、悪いラーメン屋からみなを守るために……まではよかったけど途中から「悪役を倒した後にヒロインポジが出した被害の方がデカすぎる」というのと「それを解決する手段がノリと勢いのゴリ押し」っていうのが。話が2転3転してるのにミュージカルで誤魔化された気分になった。あとヒロインの動きが全体を通してヘイトを買いやすい。強引な手法で金を儲ける敵役に対し「正しい力と心で対抗する」というヒーローの鉄則を、途中から「力に溺れてやらかす」という典型的な闇堕ち。ディストピアを作りあげた。なんのためにカンフー学んでたんですかねぇ。マサオくんの方が真髄悟ってましたよ。


・失われたひろし

 これ、普通に会話出来てたらもっと穏便に解決したやろ……ってぐらいの話。

 ざっくり言うと部族が崇めてるコアラがひろし(の足の匂い)を気に入ったので、そいつと結婚して一緒に暮らそう!って部族に攫われた。 

 あまり好ましくなかった理由が上手く言語化できないんだけど、多分


・しんのすけではなくひろしがキーパーソン

・なのにしんのすけがメインで活躍

・攫った部族とコアラ、原因と動機が段階的に分散している。つまり「ひろしを気に入ったのはコアラ」「コアラに差し出してコアラの宝を得ようとしたのは部族」「ひろひをさらったのは部族」みたいになってる。部族には報いがあるけどコアラは動物なのでお咎めなし。この「適切に責任を追求すると、もやっとする」みたいな感じ。



 

 

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