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火照りだす頬を隠そうと俯き気味の芹に反し、朝比奈は茶の席の話感覚でまた一つ大好物をぷすっと刺す。
「友達だから、当たり前でしょ」
さらりと出された言葉に思わず顔をあげ、芹は口を丸くする。
は〜っ?
友達?
当たり前?
どいうことだ?
朝比奈の言いようからすると、友達だと好きな人を知っているということになる。当然かはわからないが、知ってておかしいといいことは特にない。
たとえば、春うららな乙女の皆様は恋の悩みを打ち明けあうこともあるだろう。いや、野郎共でも相談ぐらいしたりする。秘かに抱えた想いに境界線はないので、近しい友に相談したくなる気持ちは芹にもわかる。
朝比奈は芹から、相談を受けたと思っているのだろうか。
俺、史佳に何か相談したか。
しばし、考える…
『俺、史佳に告白しようと思うんだけど、やっぱフラレるよな。あーっ、イヤだ。だったら、友達のままでいい!でも、他の奴にとられるのもイヤだ!!すでにとられてたりして…てこともあるよな。アハハハ…。はぁー。マジどうしよう。なっ、朝比奈どう思う!?」
ない。してない。絶対してない。
どんなに心あたりを探そうと、想いを寄せる相手に悩みを暴露するわけない。それでは告白することと何らかわりはない。自爆だ。頭が混乱してきて、一人黒髭ゲームをしている気分だ。
いくら俺でもそんなことはしないよな。
自信なさげになりかけていると、不意に朝比奈が近寄ってきた。ブランコが乗り手を失いながらも、ヒトリ揺れている。
「なっ!」
慌てる芹をよそに、朝比奈は大きく開かれた口にむりやりたこ焼きを押し込んだ。
ふわっと舌にソースの重さが広がっていく。
これはなに?
モグモグ。
たこ焼きだとはわかっている。だから、自然反射で咀嚼筋が動く。
モゴモゴ。
味見?と訊こうとするが、やわらかな物体が邪魔をして訊けない。
「自分の食べたら?」
静止画状態だった芹にちょっとよだれをつけたすだけで、どんなヘタクソな画伯でも簡単に飢えた人を描ける。本人は知るはずもないがそんな顔をしていた。朝比奈が大好物をおしみながら与えたこともなっとくできる。
「マヨネーズ無しが食べたかったの」
律儀にマヨと略さないあたりが朝比奈らしい。芹は仕方ないと思いつつも、彼女好みのノーマルをよーく味わってから喉に落とした。
「そうかもな」
苦笑いでやり過ごし、本音をぶつける。
「史佳はどう思う?」
「海苔がついてる」
マジ。
指さしされ、口元をパッと隠した芹をやわらかい笑声が包み込む。
ゴマカされるかな。
朝比奈にその気がなくても、誤魔化されてしまう。
嫌われてはいない。
好かれてもいない。
断定も否定もしない。
朝比奈の曖昧な態度は芹の都合のいいように解釈されてしまう。
「もちろん、好き」
そよ風がリピートして耳元を抜けていく。
好き。
ちょっと待った。
もちろん?
餅の理論。略して、餅論なわけないか。
どうしてかアホなことを考えてしまう。空耳であることを無意識に願ってしまう。
期待して傷つきたくない。
芹は何回も好きだと伝える自分を想定していたが、最後に朝比奈から良い返事をもらえることは考えられなかった。どれだけ無理矢理こじつけようと思考をめぐらせても、結果は同じだった。
芹くんらしくて、僕的にここが一番おすすめです。あたふたというか、なんか微笑ましくてたまらんです(笑)アホっぽいというか。一年前ぐらいに書いたのですがなぜか芹くんおっさんぽく思えるところが…自分が年とったせいかな




