勝利の一撃
タイトルどおりです(笑)
黒い影が森の奥へ消えると、辺りは一瞬だけ静寂に包まれた。
だが、その静寂はすぐに破られる。
「グオォォォォッ!!」
暴走したオーガが怒りの咆哮を上げ、三人へ突進してきた。
「来るぞ!」
シルヴァが叫ぶ。
「ミント!」
「任せて!」
ミントは杖を高く掲げ、深く息を吸い込む。
「草木よ、自然の力を貸して――《グリーンバインド》!」
森全体が震えた。
地面を突き破るように巨大な蔦が伸び、オーガの両脚と胴体へ絡みつく。
「今度は簡単には逃がさない!」
さらに風魔法を重ねる。
「風よ、束縛を強めよ――《ウィンドチェイン》!」
激しい風が蔦を締め上げ、オーガの動きを完全に封じた。
「今よ、シルヴァ!」
「おう!」
シルヴァは地面を蹴る。
渾身の力を込め、大斧を頭上へ振り上げた。
「これで終わりだぁぁぁっ!」
一撃。二撃。三撃。
重い斧が黒い魔力を切り裂き、オーガの体を深く刻んでいく。
しかし、それでも倒れない。
「まだ立つのか……!」
シアンは傷だらけのシルヴァを見る。
これ以上戦えば、傷が開いてしまう。
「シルヴァさん!」
シアンは両手を胸の前で重ねた。
「癒やしの光よ、仲間を守れ――《ヒール》!」
柔らかな白い光がシルヴァを包み、傷口がゆっくりと塞がっていく。
「……ありがとう。」
シルヴァは拳を握り、再び力が戻るのを感じた。
「これなら、最後まで戦える。」
ミントはシアンへ微笑む。
「すごいわ。さっきより魔法が安定している。」
シアンはうなずいた。
「まだ上手く使えないけど……仲間を守るためなら!」
その言葉にシルヴァは笑みを浮かべる。
「それでいい。」
暴走したオーガが最後の力を振り絞り、蔦を引きちぎった。
「グオォォォォッ!!」
だが、その動きは明らかに鈍い。
「決めるぞ!」
シルヴァが叫ぶ。
ミントは風をまとわせる。
「風よ、刃となれ!」
シアンは棍棒を握り締め、真正面から駆け出した。
「うおおおおっ!」
シアンは棍棒でオーガの膝を強く打ち抜く。
巨体が大きく揺らいだ。
「今だ!」
シルヴァは全身の力を込め、大斧を振り下ろす。
「これでおわりだぁ!!」
轟音とともに大斧がオーガの胸を切り裂いた。
黒い魔力は砕け散り、夜空へ溶けるように消えていく。
オーガは静かに膝をつき、その巨体はゆっくりと地面へ倒れ込んだ。
森を揺らしていた魔力も、完全に消え去る。
しばらく誰も言葉を発しなかった。
やがてシルヴァが斧を肩に担ぎ、笑った。
「勝ったな。」
シアンはその場へ座り込み、大きく息を吐く。
「終わった……。」
ミントは周囲を見渡し、枯れ始めていた草花へそっと手を添えた。
「光よ、森を癒やして。」
淡い光が広がると、枯れた草木は少しずつ緑を取り戻していく。
その光景を見たシアンは、小さく笑った。
「きれいだ……。」
ミントも優しく微笑み返す。
「この森は、また元気になるわ。」
その時、シルヴァが真剣な表情で二人を見た。
「黒霧教団……奴らが動き始めた以上、この事件だけでは終わらない。」
ミントは静かにうなずく。
「王都へ戻り、ギルドへ報告しましょう。」
シアンも力強く答えた。
「はい。僕も、この事件の真相を知りたいです。」
こうして三人は、初めて共に勝ち取った勝利を胸に、王都アルディアへの帰路についた。
しかし彼らはまだ知らない。
王都ではすでに黒霧教団の魔の手が、静かに伸び始めていることを。
今後のは不定期的に更新予定です。
明日かも?(笑)
一話が短いので一度の更新で2,3話は投稿しようと思います。




