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北の森

怖そうだけど面倒見のいいシルヴァがアドバイスをくれます!

王都アルディアを出発してから一時間。


石畳の街道はやがて土の道へと変わり、背の高い木々が空を覆い始めた。


「ここから先が北の森だ。」


先頭を歩くシルヴァは足を止め、静かに周囲を見渡す。


「耳を澄ませろ。森では目より耳が役に立つ。」


シアンは息を潜めた。


風が葉を揺らす音。


小鳥のさえずり。


遠くで枝が折れる乾いた音。


「……何かいます。」


「いい勘だ。」


シルヴァは小さくうなずく。


「だが、気配は一つじゃない。」


次の瞬間。


茂みから三匹のゴブリンが飛び出した。


「ギャアッ!」


錆びた短剣を振り上げ、一斉に襲いかかる。


「シアン!」


「はい!」


シアンは棍棒を両手で握り締めた。


恐怖で足が震える。


だが逃げなかった。


飛び込んできた一匹へ向け、全身の力を込めて振り下ろす。


鈍い音とともにゴブリンが吹き飛んだ。


「よし! 次だ!」


しかし、残る二匹が左右から迫る。


シアンが対応しきれないと判断した瞬間――。


「下がれ。」


シルヴァの大斧が風を切った。


一閃。


二匹のゴブリンは反撃する暇もなく倒れ伏した。


「……すごい。」


思わず声が漏れる。


シルヴァは斧を肩に担ぎながら言った。


「今の一撃を見て何を学んだ?」


シアンは少し考える。


「力……ですか?」


「違う。」


シルヴァは首を横に振る。


「間合いだ。」


そう言うと、倒れたゴブリンを指差す。


「相手が届く距離を理解すれば、無駄に力む必要はない。戦いは腕力じゃない。位置取りで決まる。」


シアンは深くうなずいた。


その教えを胸に刻もうとした、その時だった。


森の奥から地面を揺らすような重い足音が響く。


ドン……


ドン……


ドン……


鳥たちが一斉に飛び立つ。


木々の間から現れたのは、三メートルを超える巨大な影。


灰色の皮膚。


丸太のような腕。


血に染まった木の棍棒。


報告にあったオーガだった。


その足元には、傷ついた二人の冒険者が倒れている。


「助けて……。」


かすれた声が風に乗る。


シルヴァは静かに斧を構えた。


「シアン。」


「はい。」


「これから本物の戦いを見せる。」


オーガが咆哮を上げ、大地を踏み砕きながら突進する。


その圧倒的な迫力を前に、シアンは息をのんだ。


ベテラン冒険者シルヴァと凶悪な魔物オーガ。


命を懸けた戦いの火蓋が、今まさに切って落とされようとしていた。

さて、いきなりの強敵!?どうなる?

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