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ゴブリンの砦

定番の魔物だけど、強さはどれほどかな?

ローの鼻が地面すれすれを動く。


「ウォン……。」


商人から聞いた話を頼りに、討伐隊は森の奥へ進んでいた。


シルヴァは片手を上げ、全員を止める。


「静かに。」


冒険者たちは息を潜め、周囲の気配を探る。


シアンもガレスから教わったことを思い出していた。


敵だけではない。風、音、匂い、仲間の位置も見る。


耳を澄ませると、森の奥からかすかに子どもの泣き声が聞こえてきた。


「……助けて。」


シアンは表情を引き締める。


「まだ生きています。」


シルヴァは静かにうなずいた。


「焦るな。」


ミントは杖を握り、目を閉じる。


「魔力を探るわ。」


淡い緑色の光が森へ広がっていく。


数秒後、ミントはゆっくり目を開けた。


「魔物は十五体ほど。」


「ほとんどがゴブリン。」


「でも、一体だけ魔力が強い。」


「群れの長か。」


シルヴァは地図を広げ、周囲の地形を確認する。


「正面から突っ込めば、子どもたちが危ない。」


シアンはローを見た。


「ロー。」


ローはシアンの考えを理解したように、小さくうなずく。


「ウォン。」


シアンはシルヴァへ向き直る。


「俺とローで裏へ回ります。」


シルヴァは少し考えたあと、小さく笑った。


「判断が早くなったな。」


「ただし無茶はするな。」


「はい!」


討伐隊は二手に分かれた。


シルヴァたちは正面から注意を引きつける。


シアン、ミント、ローは森の茂みを利用しながら裏手へ回り込む。


やがて視界が開ける。


そこには丸太を組んだ簡単な砦が築かれていた。


見張りのゴブリンが二体。


中央には檻が置かれ、三人の子どもたちが震えながら身を寄せ合っている。


「見つけた……。」


シアンは小さく息をのむ。


ローが低く唸った。


「グル……。」


その時だった。


「ギャアァ!」


正面から戦いの音が響く。


シルヴァたちが攻撃を開始したのだ。


「今よ!」


ミントが風魔法を放つ。


「風よ、引き裂いて 《ウィンドカッター》!」


風の刃が見張りの武器を弾き飛ばす。


その隙にローが飛び出した。


「ウォォン!」


鋭い体当たりで一体を地面へ倒す。


シアンも棍棒を構え、一気に距離を詰めた。


「はぁっ!」


ゴブリンの手から鍵束を叩き落とす。


「子どもたち!」


シアンは檻へ駆け寄り、鍵を差し込んだ。


「もう大丈夫だから。」


檻の扉が開く。


「お兄ちゃん……。」


泣きながら飛びつく子どもをシアンは優しく受け止めた。


「安心して。」


しかし、その瞬間。


砦の奥から地面を揺らす足音が響く。


ドシン……。


ドシン……。


「なんだ……?」


丸太小屋の扉が吹き飛び、巨大な影が姿を現した。


普通のゴブリンより二回り以上大きい体。


全身を鉄の鎧で覆い、巨大な戦斧を握っている。


赤い瞳には黒い魔力が宿っていた。


ミントの表情が変わる。


「あれは……ゴブリンジェネラル!」


シルヴァも正面の敵を倒しながら叫ぶ。


「シアン! 子どもたちを守れ!」


ゴブリンジェネラルは雄叫びを上げ、巨大な戦斧を振り上げた。


「グオオオォォッ!!」


戦いは、新たな局面を迎えようとしていた。

上位のゴブリンまで出てきました!!

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