リーフ村への道
道中回
王都アルディアを出発した討伐隊は、街道を北東へ進んでいた。
先頭を歩くのは隊長を務めるシルヴァ。
その後ろにシアン、ミント、ローが続き、さらに他の冒険者たちが隊列を組む。
「目的地までは半日ほどだ。」
シルヴァは後ろを振り返りながら言った。
「慌てず、周囲への警戒を怠るな。」
「了解!」
冒険者たちの返事がそろう。
ローは街道の端を歩きながら、時折立ち止まって風の匂いを確かめていた。
「ウォン。」
「何か気になるのか?」
シアンが声をかけると、ローは鼻先を森へ向ける。
「まだ遠いけど……魔物の匂いかもしれないわ。」
ミントは目を閉じ、周囲の魔力を探る。
「黒い魔力は感じない。でも、生き物の気配は多いわね。」
その時、隊列の後方から声が聞こえた。
「おい、新人。」
シアンが振り向く。
昨日ギルドで絡んできた三人組だった。
先頭の大柄な男が腕を組み、不機嫌そうな顔をしている。
「……何でしょう?」
「お前、本当に黒狼を使いこなせるのか?」
「命令を聞くだけじゃなく、戦えるんだろうな?」
シアンはローの頭を優しく撫でた。
「ローは仲間です。」
「命令する相手じゃありません。」
男は鼻で笑う。
「甘い考えだ。」
その様子を見ていたシルヴァが振り返る。
「そこまでだ。」
隊長の一声で全員が静かになる。
「目的を忘れるな。」
「俺たちは競争しに来たんじゃない。」
男は不満そうに鼻を鳴らした。
「……分かってます。」
それ以上は何も言わなかった。
しばらく歩き続けると、街道脇に壊れた荷馬車が見えてきた。
「止まれ。」
シルヴァが右手を上げる。
討伐隊は一斉に足を止めた。
荷馬車の周囲には木箱が散乱し、荷物が荒らされている。
「襲われた跡だ。」
シルヴァは地面を調べ始める。
シアンも座学で学んだことを思い出しながら足跡を確認した。
「人の足跡が三人分……。」
「それと。」
ミントがしゃがみ込む。
「小型の魔物の足跡がたくさん。」
ローが荷馬車の周囲を歩き回る。
突然、一つの方向へ向かって強く吠えた。
「ウォォン!」
シアンが駆け寄る。
「何か見つけたのか?」
ローの前には、小さな布切れが落ちていた。
ミントが拾い上げる。
「子どもの服……。」
その場の空気が一変する。
「村人が襲われたのか。」
シルヴァの表情が険しくなる。
その時、荷馬車の下から小さなうめき声が聞こえた。
「……た、助けて。」
シアンはすぐに荷馬車の下をのぞき込む。
そこには腕を負傷した若い商人が倒れていた。
「大丈夫です!」
シアンはすぐに回復魔法を発動する。
「癒やしの光よ――《ヒール》。"
白い光が商人の腕を包み、傷口から流れていた血が止まっていく。
商人は安心したように息をついた。
「ありがとう……。」
「何があったんですか?」
商人は震える声で答えた。
「突然……小鬼の群れが……。」
「荷物を奪われて……村の子どもまで連れて行かれた……。」
その言葉に討伐隊全員の表情が変わる。
シルヴァは静かに大斧を握り締めた。
「予定変更だ。」
「討伐だけじゃない。」
「子どもたちを救出する。」
「了解!」
全員の返事が森へ響く。
ローは再び地面の匂いを嗅ぎ、力強く吠えた。
「ウォォン!!」
その先には、連れ去られた子どもたちへ続く足跡がはっきりと残されていた。
討伐隊は緊張感を高めながら、深い森の中へ足を踏み入れるのだった。
3人組とはうまくやっていけるのか?




