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ギルドマスターの実践訓練

特訓回!

モリモリの丘での依頼を終えた翌日。


シアンたちは朝早くから冒険者ギルドへ呼び出されていた。


「ギルドマスターがお待ちです。」


受付嬢に案内され、一行はギルド裏にある広い訓練場へ向かう。


すでにガレスは中央で腕を組み、静かに待っていた。


「おはようございます!」


シアンが元気よく頭を下げる。


「足の具合はどうだ。」


「もうほとんど大丈夫です。」


ガレスは満足そうにうなずいた。


「よし。」


「今日は実践訓練を行う。」


シルヴァは腕を組みながら笑う。


「ようやく体を動かせるな。」


ガレスは首を横に振った。


「違う。」


「今日のお前たちの相手は――私だ。」


シアンは思わず息をのむ。


「ガレスさんと……。」


ガレスは木剣を一本手に取る。


「安心しろ。本気ではやらん。」


「だが、手加減もしない。」


その言葉に訓練場の空気が引き締まった。


「シアン。」


「はい!」


「私へ一撃入れてみろ。」


シアンは木剣を握り、ゆっくり構える。


深呼吸。


シルヴァから教わった間合い。


座学で学んだ周囲を見る意識。


すべてを思い出す。


「いきます!」


シアンは右へ踏み込み、素早く斬り込んだ。


しかし。


カンッ。


ガレスは木剣を軽く動かしただけで受け流す。


「まだ甘い。」


続けざまに二撃、三撃。


どれも届かない。


「焦るな。」


ガレスは静かに言う。


「敵を倒そうとするな。」


「敵を見ろ。」


シアンは一度距離を取った。


呼吸を整える。


その時だった。


ローが低く鳴く。


「ウォン。」


シアンはローを見る。


ローはガレスの足元をじっと見つめていた。


「……そうか。」


シアンは小さく笑う。


ガレスはわずかに眉を上げた。


「何か気付いたか。」


「はい。」


シアンは正面からではなく、大きく回り込む。


同時にローも逆方向へ走った。


「挟み撃ちか。」


ガレスは笑みを浮かべる。


ローへ意識を向けた、その一瞬。


シアンは死角へ踏み込み、木剣を突き出した。


コツン。


木剣の先がガレスの肩へ軽く触れる。


訓練場が静まり返った。


シアンは目を丸くする。


「当たった……。」


ガレスは静かに木剣を下ろした。


「今の一撃は見事だ。」


シアンは嬉しそうに笑う。


「ロー、ありがとう!」


ローは尻尾を大きく振り、「ウォン!」と元気よく鳴いた。


ミントも拍手を送る。


「二人とも息がぴったりね。」


シルヴァは満足そうに笑う。


「もう立派な相棒だ。」


ガレスは四人を見渡し、穏やかに口を開く。


「覚えておけ。」


「一人で勝てない相手でも、仲間と力を合わせれば道は開ける。」


その言葉に、シアンは力強くうなずいた。


「はい!」


ガレスは木剣を納める。


「今日の訓練はこれで終わりだ。」


「だが――。」


その表情が少しだけ険しくなる。


「近いうちに、お前たちへ新たな任務を任せる。」


「黒霧教団が再び動き始めた。」


その一言に、訓練場の空気が一変した。


笑顔だった四人の表情も引き締まる。


次なる戦いは、もうすぐそこまで迫っていた。


訓練が終わり、シアンたちが木剣を片付けていると、ガレスが静かに口を開いた。


「シアン。」


「はい!」


「前へ。」


シアンは何事かと思いながら一歩前へ出る。


ガレスは受付嬢から一枚のギルドカードを受け取り、シアンへ差し出した。


「これまでのお前の功績は、ギルドでも正式に認められた。」


シアンは首をかしげる。


「功績……ですか?」


ガレスは力強くうなずく。


「北の森でのオーガ討伐への貢献。」


「黒霧教団の痕跡の発見。」


「ガーディアンゴーレムの浄化。」


「モリモリの丘での依頼達成。」


「そして何より、多くの命を救ったこと。」


ガレスは新しいギルドカードをシアンへ手渡した。


「本日付で、お前を鉄級冒険者から銅級冒険者へ昇格とする。」


一瞬、シアンは言葉を失った。


「……本当に?」


受付嬢が笑顔で拍手を送る。


「おめでとうございます!」


周囲の冒険者たちからも祝福の拍手が起こった。


「新人にしては早い昇格だ。」


「やるじゃないか!」


シアンは新しいギルドカードを見つめ、深く頭を下げた。


「ありがとうございます!」


シルヴァはシアンの肩を力強く叩く。


「当然だ。」


「お前はちゃんと努力してきた。」


ミントも優しく微笑む。


「これからも一緒に頑張りましょう。」


その時、ローが嬉しそうに吠えた。


「ウォン!」


受付嬢は笑いながら、もう一枚の小さな金属札を差し出す。


「こちらはローの登録証です。」


「え?」


「ギルドでは、協力して戦う魔物や動物を『従魔』として登録できます。」


ローは首をかしげる。


シアンはしゃがみ込み、首輪へ登録証を取り付けた。


「今日からローも正式なギルドの仲間だ。」


「ウォォン!」


ローは嬉しそうに尻尾を大きく振り、シアンの頬をぺろりとなめる。


訓練場には笑い声が響く。


ガレスはその様子を穏やかに見つめながら、小さく微笑んだ。


「昇格はゴールではない。」


「ここからが、本当の冒険者としての始まりだ。」


シアンは新しいギルドカードを胸に握りしめる。


「はい!」


その瞳には、新たな決意が宿っていた。


こうしてシアンとローは新たな一歩を踏み出し、黒霧教団との戦いへ向けて、さらに成長を続けていくのだった。

昇級おめでとう!!!

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