白き光、受け継がれる背中
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ガーディアンゴーレムの胸にある魔石は、なおも紫色に脈打っている。
ミントは魔石を見つめながら叫んだ。
「黒い結界が再生している! 今なら一瞬だけ隙があるわ!」
「シルヴァ!」
「ああ!」
シルヴァは大斧を構え、真正面からゴーレムへ突撃する。
「うおおおおっ!」
渾身の一撃が振り下ろされる。
轟音とともにゴーレムの両腕が大きく弾かれ、胸の魔石が完全に露わになった。
「今よ、シアン!」
シアンはローの背へ飛び乗る。
「もう一度行こう、相棒!」
「ウォォォン!!」
ローは草原を疾風のように駆け抜ける。
ミントは杖を高く掲げた。
「風よ、二人に力を――《アクセルウィンド》!」
追い風を受けたローは一気に加速する。
倒れた巨木を踏み台にし、大岩を蹴って高く跳び上がる。
シアンはローの背中を踏み切り、宙へ舞った。
右手を魔石へ向ける。
「癒やしの光よ――穢れを祓え!」
白金色の光がシアンの手からあふれ出す。
その光は魔石を優しく包み込み、黒い魔力を少しずつ浄化していく。
「ゴオオオオォォッ!」
ガーディアンゴーレムは苦しげな声を上げる。
黒い霧が全身から噴き出し、空へ溶けるように消えていった。
やがて紫色だった魔石は、美しい青白い輝きを取り戻す。
ゴーレムはゆっくりと膝をつき、シアンたちへ深く頭を下げた。
「浄化できた……。」
ミントは安堵の息をつく。
「成功よ。」
シルヴァも大斧を肩へ担ぎ、大きく笑った。
「見事だったぞ。」
その時だった。
シアンが地面へ着地した瞬間、右足に鋭い痛みが走る。
「っ……!」
足首が大きくねじれ、その場へ膝をついてしまう。
「シアン!」
ミントが駆け寄る。
「着地の時に痛めたのね。」
光魔法で応急処置を施すが、腫れはすぐには引かない。
「歩くのは無理だわ。」
シアンは悔しそうに笑った。
「最後まで格好よく決めたかったんだけどな。」
その言葉にシルヴァは鼻で笑う。
「十分格好よかった。」
そう言うと、シアンの前へしゃがみ込む。
「乗れ。」
「え?」
「帰るぞ。」
「でも、自分で歩けます。」
シアンは立ち上がろうとするが、痛みで再び座り込んでしまう。
シルヴァは苦笑した。
「無理をするな。」
「……すみません。」
「謝ることじゃない。」
シルヴァはシアンを背中へ乗せ、ゆっくりと立ち上がる。
「軽いな。」
「子ども扱いしないでください。」
「まだ半人前だからな。」
そのやり取りに、ミントは思わず笑みをこぼした。
「ふふっ。本当に仲のいい師弟ね。」
ローも二人の横へ並び、「ウォン」と嬉しそうに鳴く。
夕日に染まる草原を歩きながら、シアンは静かにつぶやいた。
「シルヴァさん。」
「なんだ。」
「いつか俺も、誰かを背負える冒険者になります。」
シルヴァは少しだけ空を見上げ、穏やかに笑う。
「その日が来るのを楽しみにしてる。」
四人の影が夕日に長く伸びる。
封印の番人との戦いは終わった。
しかし、黒霧教団が残した『第一の封印』という謎は、彼らをさらに大きな冒険へと導いていくのだった。
挿絵は最後にありました(笑)




