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師弟の組手

時には休憩回も

黒い祭壇を後にした一行は、近くの川辺で休憩を取ることにした。


澄んだ水が静かに流れ、草原を渡る風が心地よい。


ミントは水辺で薬草を摘み始める。


「回復薬の材料になるわ。少し集めておくわね。」


ローもその隣で寝転び、大きくあくびをした。


「ウォォン……。」


その様子を見ていたシルヴァは立ち上がる。


「シアン。」


「はい。」


「少し付き合え。」


そう言って近くに落ちていた木の枝を一本投げ渡した。


シアンは受け取り、不思議そうな顔をする。


「組手だ。」


「今ですか?」


「戦いの後だからこそだ。」


シルヴァは木剣代わりの枝を肩に担ぐ。


「疲れている時ほど、本当の癖が出る。」


シアンは真剣な表情で構えた。


「お願いします!」


「遠慮はするな。」


二人は向かい合う。


先に動いたのはシアンだった。


「はっ!」


教わった通り、足を踏み込みながら枝を振るう。


しかし、シルヴァはわずか半歩下がるだけでかわした。


「遅い。」


「もう一度!」


シアンは左右から連続で攻撃する。


だが、どれも空を切る。


「腕だけで振っている。」


シルヴァは枝で軽くシアンの肩を叩いた。


「ぐっ!」


「相手を見ろ。」


「はい!」


シアンは深く息を吸う。


相手ではなく、自分の攻撃ばかりを見ていたことに気付く。


今度はシルヴァの肩、足、重心へ視線を配る。


「そうだ。」


シルヴァが笑う。


「ようやく相手を見始めたな。」


再び枝が交わる。


カンッ!


シアンは初めてシルヴァの一撃を受け止めることに成功した。


「やった!」


思わず声が出る。


「喜ぶのはまだ早い。」


シルヴァは体をひねり、枝でシアンの足元を払う。


「あっ!」


シアンは尻もちをついた。


その様子を見ていたミントが思わず笑う。


「ふふっ。」


ローも尻尾を振りながら「ウォン!」と鳴く。


まるで笑っているようだった。


シアンは照れ笑いを浮かべる。


「ローまで笑わなくても……。」


ローはシアンの頬をぺろりとなめる。


「ははっ、くすぐったい!」


シルヴァは腕を組み、満足そうにうなずいた。


「今の一撃は悪くなかった。」


「本当?」


「ああ。」


シルヴァは真剣な表情になる。


「お前は力では俺に勝てない。」


「はい。」


「なら何で勝つ?」


シアンは少し考え、答えた。


「速さ……ですか?」


シルヴァは首を横に振る。


「違う。」


「経験?」


「それも違う。」


シルヴァは木剣を地面へ立てた。


「お前の強みは、人を守ろうとする心だ。」


シアンは目を見開く。


「回復魔法も、その心があったから目覚めた。」


シルヴァは穏やかに続ける。


「剣も魔法も、その心を支えるための力だ。」


その言葉は、シアンの胸に深く刻まれた。


「ありがとうございます。」


深く頭を下げるシアン。


ミントも優しく微笑む。


「いい師匠を持ったわね。」


シルヴァは少し照れくさそうに頭をかいた。


「師匠なんて柄じゃない。」


その言葉に、四人は思わず笑い合う。


束の間の穏やかな時間。


しかしその時、ローの耳がぴくりと動いた。


「グル……。」


さっきまで穏やかだった表情が一変し、森の奥をじっと見つめる。


シアンたちはすぐに笑顔を消し、武器を手に取った。


新たな試練が、すぐそこまで迫っていた。

2人休憩したかな?(笑)

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