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黒狼

戦闘が始まる!

森へ足を踏み入れた三人の前に、十数頭の黒狼が姿を現した。


漆黒の毛並み。


鋭い牙。


そして、黒い魔力に染まった真っ赤な瞳。


群れの後ろでは、一人の少年が木の上にしがみつき、震えている。


「助けて!」


「シアン、少年を頼む!」


シルヴァは大斧を構え、一歩前へ出る。


「ミント、援護だ!」


「任せて!」


ミントは杖を掲げる。


「風よ、駆け抜けて――《ウィンドカッター》!」


幾筋もの風の刃が黒狼たちを切り裂き、群れを散らした。


その隙にシアンは少年のもとへ駆け寄る。


「もう大丈夫!」


少年を木から降ろし、安全な場所へ避難させる。


しかし、その時だった。


群れの奥から、一際大きな黒狼が飛び出してきた。


「グルルル……!」


体長は二メートル近く。


他の黒狼よりも黒い魔力が濃く、真紅の瞳が妖しく輝いている。


「群れのボスか!」


シルヴァが斧を構える。


だが、その黒狼は突然苦しそうに頭を振り始めた。


「ガァ……グルゥ……。」


まるで何かと戦っているようだった。


「待って!」


シアンが叫ぶ。


「様子がおかしい!」


ミントは魔力を探る。


「この子だけ……黒い魔力に抵抗している!」


その瞬間、黒狼は苦しみながらもシアンへ飛びかかる。


シアンは攻撃せず、その場で踏みとどまった。


「苦しいんだな……。」


シルヴァが驚く。


「シアン!」


「助けられる!」


シアンは両手を黒狼へ向けた。


「癒やしの光よ……穢れを払え――《ホーリークリーン》!」


白金色の光が黒狼を包み込む。


「ガアアアァァッ!」


黒狼は激しく苦しみ、体から黒い霧が噴き出した。


やがて霧は空へ溶けるように消え去る。


赤く染まっていた瞳は、ゆっくりと澄んだ金色へ戻っていった。


森を包んでいた殺気も静かに消えていく。


残っていた黒狼たちは正気を取り戻し、森の奥へ走り去っていった。


ただ一頭だけ、その黒狼は動かなかった。


ゆっくりとシアンへ歩み寄る。


シアンは静かにしゃがみ込み、その大きな頭へ手を伸ばした。


「もう大丈夫だ。」


黒狼は警戒することなく、そっと頭を預ける。


「グル……。」


その瞳には敵意はなく、感謝の色だけが宿っていた。


ミントは優しく微笑む。


「あなたを救ってくれたって、ちゃんと分かっているのね。」


シルヴァも腕を組み、満足そうにうなずく。


「賢い魔物……いや、もう仲間と言った方がいいか。」


シアンは黒狼の首を優しく撫でる。


「今日から、お前の名前はローだ。」


「ウォン!」


黒狼は力強く一声鳴くと、嬉しそうに尻尾を振った。


こうして、黒狼のローはシアンたちの新たな仲間となる。


鋭い嗅覚と圧倒的な脚力を持つローは、旅の頼もしい仲間として、そして黒霧教団の黒い魔力をいち早く察知できる特別な存在として、一行と共に新たな冒険へ歩み始めるのだった。

新しい仲間が入りました!!これでメインキャラは揃いました(笑)

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