第97話:ゴルドの小屋
種蒔きから二百三十五日目の朝、大空洞に入った。
採取ポイントで三本を摘み取った。根元の青白い発光は変わらなかった。布袋に入れた。
第一耕地に進んだ。二株が今日の頃合いだった。指で押して弾力を確かめてから摘み取った。
第三耕地は今日の収穫の頃合いではなかった。三か所に水をかけた。
岩の隙間の霧花草が今日は葉を開いていた。三枚を刈り取って別の布袋に入れた。
水場を通りかかった時、水に指先を入れた。今日も温かかった。
割れ目の方へ向かった。
*
割れ目に一歩入った。苔の青白い光が続いた。十八歩進んで向こう側に出た。刻みを確かめた。
二十八本になっていた。
(ケルンが来た。この三日の間に)
二十八本目だけ表面が荒かった。器の向きは変わっていなかった。
(今日は先へは進まない。別のことをしておく)
部屋を出た。割れ目を抜けて大空洞に戻った。
*
小屋に戻った。霧花草を刻んでミストハーブと一緒に煎じた。乾燥台に今日の五本を並べた。炭に火をつけた。弱火を保った。
この三日の間に積み上がっていた分を確かめた。乾燥台分を加える前の通常品が五百三十八本になっていた。一時間ほどで通常品五本と混合品一本が仕上がった。棚に加えた。通常品が五百四十三本になった。混合品が四十一本になった。
記録の紙を取り出した。「刻みが二十八本に増加——話間にケルン来訪。割れ目は確認のみ・今日は探索せず。通常品五百四十三本。混合品四十一本」。
(ゴルドさんのところへ行っておく)
これまで、ゴルドへの連絡はミア経由だった。七十歩目の溝の形を紙に書いてこいとシルバに言われていた。紙に形を描くなら、一度ゴルドに話しておいた方がいいかもしれない——いや、話しに行く前に、まず一度自分で出向いた方が先だと思った。
小屋を出た。
*
ゴルドの鍛冶場は、ミアの師匠の小屋の隣にあった。煙が出ていた。中から金属を叩く音がした。扉の前に立った。音が続いた。止まった。
「誰だ」
「レインです。少し時間をいただけますか」
少し間があった。扉が開いた。ゴルドが顔を出した。額に汗が光っていた。
「来たか」
「ミア経由でしか連絡していなかったので、一度直接お礼を言いたかったと思って来ました。書面のことで来てくれた時と、教会のことを前もって教えてくれたことへの」
「礼はいらない」
「はい。——もう一つ、話しておきたいことがあって来ました。降下通路を探索しています。七十歩目まで進みました。右の壁に古い溝がありました。六十五歩目にも同じ形の溝があって、今は二か所で確認しています」
ゴルドが少し間を置いた。
「形は」
「細くて浅い。表面が滑らかです。祖父の溝とは全然違います。もっと古いと思います」
「溝の形を紙に描いたか」
「まだです。シルバじいさんにも言われました。次に行った時に描いてこようと」
ゴルドが顎を少し動かした。
「描いてこい。大きさと向きを正確に。形は言葉では伝わらない」
「わかりました」
「——もう一つ。向こうの広い場所の壁に文字のような線があると聞いた」
(ミアが話していたか)
「はい。ケルンが松明で確かめてきました。複数の線が絡み合って、文字に似た形で壁を伸びていたと言っていました」
ゴルドが少し間を置いた。
「溝の形を描いてきたら、また来い」
「はい」
扉が閉まった。
*
(ゴルドが「また来い」と言った)
道を戻りながら、少し考えた。これまでミアを通じてしか話したことがなかった。直接話したのは今日が初めてだった。言葉は少なかった。でも——確かに伝わっていた。
*
夕方、シルバの小屋へ向かった。
「刻みが二十八本になっていました。話間にケルンが来たようです。今日は探索せず確認だけしました。ゴルドさんのところへ直接行きました。七十歩目の溝の話と、向こうの壁の線の話をしました。溝の形を紙に描いてきたらまた来いと言われました」
シルバが炉の前でゆっくりと顔を上げた。
「ゴルドのところへ自分で行ったか」
「はい。ミア経由ばかりではいけないと思って」
短い間があった。炉の木がくすぶっていた。
「それでいい」
「シルバじいさん。一つ聞かせてください。祖父は——なぜこの場所を選んだんでしょうか」
シルバがゆっくりと炉を見た。少し長い間があった。
「ガルドがここを選んだのは、場所だけの理由じゃなかったと俺は思っている。ここに来ることができる人間を待っていた、ということだ」
「来ることができる人間」
「ただ入れる、という意味じゃない。ここに来て、続けられる人間、ということだ。——お前がここに来て、毎日採って、積み上げていく。その一つずつが、ガルドが待っていたことなんだと思う」
シルバがそれ以上は言わなかった。炉を見たまま動かなかった。
「はい」
「次は七十五歩目だ。紙と短刀を持っていけ」
「わかりました」
炉の火が揺れた。外はもう暗くなっていた。
*
夜、経営の書を開いた。
「場所には、それを受け取れる者が来るのを待っている側面がある。来た者が何をするかよりも、来た者がそこに居続けるかどうかを、場所は確かめている。来て、続けた者だけが、その場所を本当に受け取ることになる」
(ガルドが待っていた人間として、俺が来た。続けている。それだけのことかもしれない。でも——それだけのことが、一番難しいのかもしれない)
棚を見た。通常品が五百四十三本。混合品が四十一本。
明日も採りに行く。




