第62話:百五十本
種蒔きから百二十六日目の朝、大空洞に入った。
採取ポイントで三本を摘み取った。根元の青白い発光は今日も変わらなかった。第一耕地で二本。
第三耕地に回ると、収穫できる大きさになっているものがあった。指で押すと弾き返した。五本を摘み取った。三か所に水をかけた。
(今日、セイロスが来る)
割れ目の方へは今日は向かわなかった。
*
小屋に戻った。乾燥台に十本を並べた。霧花草は今日は採らなかった。炭に火をつけた。
待つ間、棚を確かめた。通常品が三百八十六本あった。昨日と一昨日の分が積まれていた。
一時間ほどで十本が仕上がった。棚に加えた。三百九十六本になった。
(百五十本を出す)
百五十本を木箱に移した。一本ずつ手に取り、十本ごとに数えながら入れた。百五十本、入った。棚に残ったのは二百四十六本だった。
*
昼前、ミアが来た。
扉を叩いてから入ってきた。棚を一度見た。
「木箱に移したか」
「百五十本、入っている」
ミアは木箱のそばに立ち、縁を一度手で触れて揺らした。
「しっかりしている」
「昼過ぎには来るはずだ」
「わかった」
ミアは丸太に腰を下ろした。
*
昼を過ぎた頃、セイロスが来た。
荷馬を外につないで戸口に立った。
「よく積んでいる」
「百五十本、木箱に入れてあります」
セイロスは木箱のそばに移り、蓋を一度外して中を確かめた。瓶を一本手に取り、窓の光に向けた。薄い緑色が光を帯びてわずかに輝いた。向きを変え、また当てた。
「前回と変わらない」
「はい」
瓶を戻した。蓋を閉めた。
「ミアさん」
ミアが立った。
「ゴルドさんの膝の続きを聞かせてもらえますか」
「今月も問題ない。先月より雨の日が多かったが、一度も重くならなかった。師匠自身は何も言わない。でも階段を下りる時の足の運びが変わった」
「足の運びが」
「一段ずつ確かめるように下りていたのが、そうしなくなった。自然に下りている」
セイロスはしばらく黙っていた。
「五ヶ月近くになりますね」
「そうだ」
「それなら一時的なものではない。来月もその話を聞かせてください」
「わかった」
セイロスは袋から銀貨を取り出して数えた。
「三百七十五枚、確かめてください」
受け取って数えた。三百七十五枚あった。
「確かに受け取りました」
「来月末も同じ条件で来ます。百五十本、頼みます」
「はい」
セイロスが帰り際に立ち止まった。
「一つ伝えておきます」
「はい」
「ロウン街道のある集落で、教会の者がタルン村の名前を出したそうです。直接確認しに来たのではなく、集落の者が話の中で自然に口にしたことが、俺の耳に届きました」
(タルン村の名前が)
「教会が、ですか」
「今のところそれだけです。何かがあったわけではない。ただ名前が出た、それだけです。でも知っておいた方がいいと思って」
「ありがとうございます。シルバじいさんにも伝えます」
セイロスは荷馬の手綱を取ってそのまま去った。
*
ミアが片付けを手伝った。空になった木箱を端に寄せた。棚を整えた。二百四十六本が並んでいた。
少し間があった。
「ミア」
ミアが手を止めた。
「シルバじいさんから、スケイルリザードのことをお前に話しておけと言われていた。先日も少し話したが、もう少しちゃんと話しておきたい」
ミアは少し間を置いた。
「聞く」
「霧穴に最初に入った頃から、ずっとここにいた。大空洞の中で何度も見かけた。こちらに気づいても攻撃しなかった。先日、水場の岩の上にいて、逃げなかった。手を伸ばしたら、指先で鱗に触れることができた」
ミアはしばらく黙っていた。
「鱗の感触は」
「冷たかった。固かった。一枚一枚が重なっていた。向こうは動かなかった。赤い目でこちらをそのまま見ていて、しばらくしてから奥へ去った」
また少し間があった。
「ガルドじいさんの時も、か」
「わからない。でもそうかもしれないとは思っている」
ミアは何かを言いかけた。口を閉じた。
「師匠に話す」
「ゴルドが何か知っているのか」
ミアは答えなかった。扉が閉まった。
*
夕方、シルバの小屋へ向かった。
「セイロスが来ました。百五十本を渡しました。銀貨三百七十五枚です」
「そうか」
「ゴルドの評価は今回もミアが話してくれました。五ヶ月近く改善が続いていると」
「ゴルドはよく動いている」
「セイロスから聞いた話があります。ロウン街道のある集落で、教会の者がタルン村の名前を出したそうです。集落の者が話の中で自然に口にしたことがセイロスの耳に届いたと」
シルバは炉から手を離した。しばらく何も言わなかった。
「名前が出た」
「今のところそれだけだとセイロスは言っていました」
「そうか」
少し間があった。
「ミアにスケイルリザードのことを話したか」
「話しました。師匠に伝えると言って帰りました」
「そうか」
シルバは炉の前で腕を組んだ。
「今日はそれだけでいい。引き続き知らせてくれ」
「はい」
帰り際、シルバが言った。
「一つ動いた。少し待て」
それだけだった。
*
夜、経営の書を開いた。
「名が知られることは始まりではない。名が知られた後に何をするかが、その者の在り方を問う。問われた時に動ける者は、問われる前から動いていた者だ」
(タルン村の名前が出た。セイロスが教えてくれた。シルバじいさんが一つ動いたと言った。でも今日はポーションを百五十本渡した。ゴルドの膝は五ヶ月続いている。ミアがゴルドに話すと言って帰った)
棚を見た。通常品が二百四十六本。混合品が二十六本。
明日も採りに行く。




