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第61話:月末まで二日

 種蒔きから百二十四日目の朝、大空洞に入った。


 採取ポイントで三本を摘み取った。根元の青白い発光は変わらなかった。第一耕地で二本。第三耕地は今日収穫がなかった。次のグループはまだ小さかった。三か所に水をかけた。


 霧花草を一束採取した。水場の近くで育っているものを選んで摘んだ。


 割れ目の方へ向かった。



 割れ目に一歩入った。十八歩進んで向こう側に出た。


 刻みを確かめた。指先でなぞった。一本、二本、三本、四本、区切り、六本、七本、八本、九本、十本、十一本。


(変わっていない)


 器の向きも変わっていなかった。草の残骸もそのままだった。


(三日の間は来なかった)


 奥の開口部は今日は入らなかった。月末が近い。先に確かめることがある。



 割れ目を抜けて大空洞に出た。


 水場を見た。スケイルリザードの姿はなかった。


(また来るだろうか)



 小屋に戻って乾燥台に五本を並べた。霧花草を一束加えた。炭に火をつけた。


 棚を見ながら、今日の分が仕上がるのを待った。


(通常品が三百七十一本ある。月末にセイロスが来る。今月は百五十本の約束だ。足りている)


 一時間ほどで通常品の五本が仕上がった。混合品の一本も仕上がった。棚に並べた。通常品が三百七十六本になった。混合品が二十六本になった。


 棚を整えた。通常品を左に、混合品を右に並べた。前回のセイロスの時と同じ順だった。


(百五十本分を木箱に移すのは当日でいい。今日は数だけ確かめておく)



 夕方、ミアが来た。


 扉を叩いてから入ってきた。棚を見た。


「三百七十六本か」


「そうだ」


「月末は明後日か」


「セイロスが来る日はそのくらいのはずだ」


「そうか」


 ミアは丸太に腰を下ろした。


「今回も立ち会う」


「助かる」


「師匠のことを伝えることは今回もあるか」


「あればお願いしたい。ゴルドの膝の続きをセイロスに話せるなら話したい」


「わかった。確かめておく」


 少し間があった。


「刻みはどうだった」


「三日前から変わっていなかった。十一本のままだ」


「そうか」


 ミアは棚を一度見てから立ち上がった。


「棚はよく整えてある」


「前回と同じ順にした」


「それでいい」


 扉が閉まった。



 シルバの小屋へ向かった。


「月末が明後日です。棚を整えました」


「何本ある」


「通常品が三百七十六本、混合品が二十六本です」


「そうか。百五十本分はある」


「はい」


 シルバは炉の前で腕を組んだ。


「セイロスに教会のことを聞く必要はない。向こうから話してくれる分だけ聞けばいい」


「そう思っています」


「話を聞いたら、すぐに俺に伝えろ。今は情報だけが大切だ」


「わかりました」


 少し間があった。


「刻みは三日間で変わっていなかった」


「そうか。一定の間隔ではないということだ」


「来る時と来ない時がある。三日空いたり、四日で来たり」


「来た時に会えるかどうかは、お前次第だ。焦って待つことはしなくていい」


「はい」


 帰り際、シルバが言った。


「スケイルリザードのことは、どこかでミアに話しておけ」


(なぜミアに)


「はい」


 理由は聞かなかった。



 夜、経営の書を開いた。


「準備とは、できることを当日にしておくことではない。当日にすることを今日に終えておくことだ。備えた者は、当日に備えることを忘れている」


(明後日、セイロスが来る。棚は整えた。数はある。あとは当日にするだけだ。それと——刻みを刻む者は、今もどこかにいる)


 棚を見た。通常品が三百七十六本。混合品が二十六本。


 明日も採りに行く。

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