第61話:月末まで二日
種蒔きから百二十四日目の朝、大空洞に入った。
採取ポイントで三本を摘み取った。根元の青白い発光は変わらなかった。第一耕地で二本。第三耕地は今日収穫がなかった。次のグループはまだ小さかった。三か所に水をかけた。
霧花草を一束採取した。水場の近くで育っているものを選んで摘んだ。
割れ目の方へ向かった。
*
割れ目に一歩入った。十八歩進んで向こう側に出た。
刻みを確かめた。指先でなぞった。一本、二本、三本、四本、区切り、六本、七本、八本、九本、十本、十一本。
(変わっていない)
器の向きも変わっていなかった。草の残骸もそのままだった。
(三日の間は来なかった)
奥の開口部は今日は入らなかった。月末が近い。先に確かめることがある。
*
割れ目を抜けて大空洞に出た。
水場を見た。スケイルリザードの姿はなかった。
(また来るだろうか)
*
小屋に戻って乾燥台に五本を並べた。霧花草を一束加えた。炭に火をつけた。
棚を見ながら、今日の分が仕上がるのを待った。
(通常品が三百七十一本ある。月末にセイロスが来る。今月は百五十本の約束だ。足りている)
一時間ほどで通常品の五本が仕上がった。混合品の一本も仕上がった。棚に並べた。通常品が三百七十六本になった。混合品が二十六本になった。
棚を整えた。通常品を左に、混合品を右に並べた。前回のセイロスの時と同じ順だった。
(百五十本分を木箱に移すのは当日でいい。今日は数だけ確かめておく)
*
夕方、ミアが来た。
扉を叩いてから入ってきた。棚を見た。
「三百七十六本か」
「そうだ」
「月末は明後日か」
「セイロスが来る日はそのくらいのはずだ」
「そうか」
ミアは丸太に腰を下ろした。
「今回も立ち会う」
「助かる」
「師匠のことを伝えることは今回もあるか」
「あればお願いしたい。ゴルドの膝の続きをセイロスに話せるなら話したい」
「わかった。確かめておく」
少し間があった。
「刻みはどうだった」
「三日前から変わっていなかった。十一本のままだ」
「そうか」
ミアは棚を一度見てから立ち上がった。
「棚はよく整えてある」
「前回と同じ順にした」
「それでいい」
扉が閉まった。
*
シルバの小屋へ向かった。
「月末が明後日です。棚を整えました」
「何本ある」
「通常品が三百七十六本、混合品が二十六本です」
「そうか。百五十本分はある」
「はい」
シルバは炉の前で腕を組んだ。
「セイロスに教会のことを聞く必要はない。向こうから話してくれる分だけ聞けばいい」
「そう思っています」
「話を聞いたら、すぐに俺に伝えろ。今は情報だけが大切だ」
「わかりました」
少し間があった。
「刻みは三日間で変わっていなかった」
「そうか。一定の間隔ではないということだ」
「来る時と来ない時がある。三日空いたり、四日で来たり」
「来た時に会えるかどうかは、お前次第だ。焦って待つことはしなくていい」
「はい」
帰り際、シルバが言った。
「スケイルリザードのことは、どこかでミアに話しておけ」
(なぜミアに)
「はい」
理由は聞かなかった。
*
夜、経営の書を開いた。
「準備とは、できることを当日にしておくことではない。当日にすることを今日に終えておくことだ。備えた者は、当日に備えることを忘れている」
(明後日、セイロスが来る。棚は整えた。数はある。あとは当日にするだけだ。それと——刻みを刻む者は、今もどこかにいる)
棚を見た。通常品が三百七十六本。混合品が二十六本。
明日も採りに行く。




