第57話:ドゥルガが来た
種蒔きから百十一日目の朝、大空洞に入った。
採取ポイントで三本を摘み取った。第一耕地で二本。第三耕地に回ると、十八回目のグループが収穫できる大きさになっていた。指で押すと弾き返した。五本を摘み取った。三か所に水をかけた。
今日は割れ目には入らなかった。
*
小屋に戻って乾燥台に十本を並べた。炭に火をつけた。霧花草を一束加えた。
一時間ほどで通常品の十本が仕上がった。混合品の一本も仕上がった。棚に並べた。通常品が二百九十六本になった。混合品が二十四本になった。
棚を整えていたところで、外から馬の音がした。
*
ドゥルガだった。
「久しぶりだ。先月は来られなかった」
「道が荒れていたんですか」
「別の荷があってな。回り道が多かった。顔を見せる機会を逃した」
ドゥルガは部屋に入って棚を見た。
「増えたな」
「月末に向けて積んでいます。セイロスとは百五十本で合意しているので」
「知っている。セイロスから聞いた」
ドゥルガは丸太に腰を下ろした。
「十本、分けてもらえるか」
「用意できています」
木箱を出した。通常品を十本数えて入れた。
「銀貨二十枚だ。変わらずでいい」
銀貨を数えて受け取った。
*
「話しておきたいことがある」
ドゥルガは膝に手を置いた。
「教会の者が、ロウン街道の方まで来ているという話を聞いた」
(ロウン街道まで)
「問屋ではなく、道沿いの集落を直接回っているらしい。ポーションのことと、出どころを聞いているという話だ」
「タルン村の名前は出ていますか」
「名前が出ているかどうかはわかっていない。ただ、ロウン街道を回っているなら、この先まで来る可能性はある」
しばらく間があった。
「今すぐ何かが起きるとは思っていない。ただ、エクラの問屋から、集落を直接回るところまで来た。一段階、近づいた」
「わかりました」
「セイロスとの取引は続けるか」
「はい」
「そうか。それでいい。信用のある人間が間にいる間は、まだ時間がある。お前はよく積み上げている」
ドゥルガは立ち上がった。
「また来る。道が落ち着いたら月一で戻れるはずだ」
「ありがとうございます」
*
ドゥルガが帰った後しばらくして、ミアが来た。
「馬の跡があった。ドゥルガか」
「来ていた。十本引き取ってもらった」
「それと」
「教会がロウン街道の集落を回っているという話を持ってきた。問屋ではなく、集落を直接だ」
ミアは少し黙った。
「ロウン街道まで来たか」
「そういうことだ。名前が出ているかどうかはまだわからない」
「師匠に話す」
ミアは棚を一度見た。
「師匠も気にしているはずだ。エクラの問屋から集落まで来たとなれば、違う話になる」
「シルバじいさんにも今日話すつもりだ」
「そうか」
扉が閉まった。
*
夕方、シルバの小屋へ向かった。
「ドゥルガが来た。ロウン街道の集落を、教会の者が直接回っているという話を持ってきた」
シルバは手を止めた。
「集落まで来たか」
「名前が出ているかどうかはまだわからないとドゥルガは言っていた。ただ、一段階近づいた、とも」
しばらく黙っていた。
「お前は今のことを続けろ」
「はい」
「俺が考えていることがある。今は動かなくていい」
「わかりました」
シルバは窓の方を向いた。
「ドゥルガは信用のできる男だ。来て話してくれたことを大切にしろ」
「はい」
*
夜、経営の書を開いた。
「遠くで起きていることは、来るまでに時間がかかる。来た時に慌てないためには、来る前に今の足元を固めておくことだ」
(ロウン街道の集落まで来た。問屋から集落へ、一段階近づいた。今日できることは変わらない)
棚を見た。通常品が二百八十六本。混合品が二十四本。
明日も採りに行く。




