第49話:誰かの場所
種蒔きから八十一日目の朝、大空洞に入った。
採取ポイントで三本を摘み取った。第一耕地で二本。第三耕地に回ると、十二回目のグループが収穫できる大きさになっていた。五本を摘み取った。三か所に水をかけてから、奥の壁際へ歩いた。
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割れ目の前に立った。今日も風が来ていた。
一歩入った。十八歩進んで入口の縁に立った。一歩踏み出した。向こう側に出た。
中は前回と変わらなかった。青白い光。岩を削った棚。土をかぶった器。
今日は器に近づいた。
手を伸ばして、そっと持ち上げた。軽かった。思ったより軽かった。底にわずかに土がついていた。
中をのぞいた。乾燥した植物の残骸が少し残っていた。鼻を近づけると、かすかな匂いがした。草のような、土のような匂いだった。何かを思い出させる匂いだったが、何かはわからなかった。
器を元の位置に戻した。
棚の横の壁に手を当てた。松明の焦げ跡の右側、少し奥まったところに、岩が縦に削れている部分があった。指でなぞった。
縦の線が七本あった。
等間隔ではなかった。四本並んで、一本空いて、二本。いや、違う。よく見ると、四本に一本横棒を通した「正」の形と同じ数え方だった。五本で一区切り。残り二本。七だった。
(七回、誰かがここに来た)
刻まれた跡は古かった。表面が滑らかになっていた。ずいぶん前に刻まれたものだった。
奥の開口部は今日も見るだけにした。
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大空洞に引き返した。
スケイルリザードはいなかった。
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小屋に戻って乾燥台に十本を並べた。採取ポイントの三本、第一耕地の二本、第三耕地の五本だった。炭に火をつけた。
通常品を十本、混合品を一本仕上げた。棚に並べた。通常品が二百二十六本になった。混合品が十七本になった。
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夕方、シルバの小屋に向かった。七本の刻みのことが頭を離れなかった。
扉を叩いた。返事があった。中に入ると、シルバは炉の前に座って木を削っていた。
「割れ目の向こうに、刻みがあった」
シルバの手が止まった。
「棚の横の壁だ。縦線が七本」
しばらく黙っていた。
「器は」
「粘土の小さな器。ひびが入っているが形は残っている。中に乾いた草の残骸が少し」
「触れたか」
「持ち上げた。戻した」
シルバはまた黙った。炉の炎が揺れた。
「刻みの数が変わるかどうか、次に見てきてくれ」
(今も誰かが来ているということか)
そうは言わなかった。レインも聞かなかった。
「わかった」
シルバは木を削る手を再び動かし始めた。それ以上は何も言わなかった。
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夜、経営の書を開いた。
「場所には記憶がある。使われた場所は、次に来る者を待っている。待っている場所には、何かが残されている。残されたものを見つけた者は、その場所の最初の来訪者ではない」
七という数を思った。刻みの数が変わるかどうか。
(誰かが、まだ来ているかもしれない)
棚を見た。通常品が二百二十六本。混合品が十七本。
明日も採りに行く。




