第47話:十八歩
種蒔きから七十六日目の朝、今日は割れ目へ先に向かうことにした。松明を四本持った。
採取ポイントで三本を摘み取った。第一耕地で二本。第三耕地に回ると、十一回目のグループが収穫できる大きさになっていた。五本を摘み取った。三か所に水をかけてから、奥の壁際へ歩いた。
*
割れ目の前に立った。今日も中から風が来ていた。
松明を向けて、一歩入った。
十二歩目まで迷わず進んだ。ここまでは前回と同じだった。壁の苔の青白い光、広がった通路、湿り気のある土。全部見慣れていた。
十三歩目。
苔の帯が増えていた。壁の四分の一ほどが青白く光っていた。
十四歩目。十五歩目。
天井がさらに高くなった。壁の幅は変わらないが、上が抜けていく感覚があった。苔の光が強くなった。松明の炎が、壁の反射光の中で浮いて見えた。
十六歩目。
風が強くなった。頬に当たるのがはっきりわかった。松明の炎が大きく揺れた。もう松明がなくても進めるかもしれないと思った。
(先が見えてきた)
十七歩目を踏んだ。
通路が緩やかに右へ曲がった。曲がりを抜けた先に、空間が広がっていた。開口部だった。ずっと見てきた「丸みのある光の輪郭」の正体だった。
入口が、そこにあった。
向こうから光が漏れていた。青白い光だった。松明ではない、苔の光だった。扉はなかった。岩が自然に開いた形だった。人が両手を広げて通れるほどの幅だった。
十八歩目。
入口の縁に立った。中を覗いた。
広かった。
通路の三倍はある空間だった。天井は低く、大空洞ほどは高くなかった。壁が青白い光で満たされていた。苔が壁一面を覆っていた。松明を消しても見えそうなほど明るかった。奥の壁に、何かがあった。形までは今の位置からは判別できなかった。
風が顔に当たった。この先に、まだ続きがある。
(入れる)
今日は入らなかった。
十八歩目から引き返した。十七歩、十六歩。大空洞に出ると、いつもより暗く感じた。
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小屋に戻って乾燥台に十本を並べた。採取ポイントの三本、第一耕地の二本、第三耕地の五本だった。炭に火をつけた。
待つ間に霧花草の準備をした。通常品を十本、混合品を一本仕上げた。棚に並べた。通常品が百八十六本になった。混合品が十五本になった。
(月末まで二十日ある)
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夕方、経営の書を開いた。
「見えた扉は、開く前から存在している。扉を知った者は、開け方を考え始める。考え始めた者だけが、いつか扉を開ける」
(入れる。次は入る)
棚を見た。通常品が百八十六本。混合品が十五本。
明日も採りに行く。




