第45話:二度目の約束
種蒔きから六十六日目の朝、大空洞に入った。今日は月末だった。
採取ポイントで三本を摘み取った。根元の青白い光が今日も変わらなかった。第一耕地では二本が収穫できる大きさになっていた。第三耕地に回ると、九回目のグループが指で押すと弾き返す大きさになっていた。五本を摘み取った。三か所に水をかけてから小屋に戻った。
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乾燥台に十本を並べた。採取ポイントの三本、第一耕地の二本、第三耕地の五本だった。炭に火をつけた。
待つ間に棚を整えた。前回と同じように、通常品を左列に、混合品を右列に並べた。数を確かめた。通常品が二百六本、混合品が十二本あった。今日の分を仕上げれば、二百十六本と十三本になる。
乾燥が終わった頃に、通常品を十本仕上げた。続けて混合品を一本仕上げた。棚に並べた。通常品が二百十六本になった。混合品が十三本になった。
(問題ない)
セイロスに百本渡して、百十六本余る。
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セイロスが小屋の前に着いたのは午後の半ばだった。先月と同じ刻限だった。一人で来た。
「二か月目だ」セイロスは小屋に入りながら言った。
「どうぞ」
棚を一度、左列から右列へ目で確かめた。「通常品が二百十六本か」
「今朝の分まで含めてです」
「混合品は十三本」
「今月も見せるだけにします」
「わかった」セイロスは少し考えるような顔をした。「急ぐことではない」
前回と同じ木箱を出した。通常品を百本、数えながら移した。セイロスが隣で静かに確かめた。数に間違いがないことを確認してから、袋を置いた。
「銀貨二百五十枚。二か月目も同じ数字だ」
「ありがとうございます」
木箱の蓋を閉めた。
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少し間が空いた。セイロスは棚の残りを見ながら言った。
「来月は、百五十本用意できるか」
答える前に少し考えた。今月百本渡して百十六本残る。来月一か月で積み上げられる量は百五十本を超える。
「できます」
「では来月末は百五十本で。銀貨三百七十五枚になる。単価は変えない」
「わかりました」
セイロスは棚を一度だけ見た。「ゴルドの件は、今も続いているか」
「ミアからの報告では、雨の日でも膝が重くならなくなったと聞いています。歩き方も変わったようです」
「そうか」セイロスは小さくうなずいた。「混合品については、来月また判断する」
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セイロスは帰り際に、ふと付け加えた。
「一つ、知っておいた方がいいことがある」
「はい」
「エクラで、ポーションの出どころを確かめに回った者がいた。教会の者だ。問屋を数件訪ねていたらしい。今のところ話を聞いただけで、特に動いている様子はない」
「……わかりました」
「商いが広がれば、目が向くことはある。名前が出たわけではない。ただ、知っておいた方がいいと思った」
セイロスは木箱を抱えて出ていった。足音が遠ざかり、静かになった。
(教会が、エクラで聞いた)
棚の残った通常品を見た。百十六本。混合品が十三本。
聞いて、今すぐ何かするわけではない。ただ、どこかで足音が近づいている、という感覚があった。
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夕方、ミアが来た。小屋の前で棚を一度見た。
「セイロスが来たか」
「はい。百本、渡しました」
「銀貨は」
「二百五十枚です。来月は百五十本で話がまとまりました」
ミアは少し間を置いた。「師匠に話す」
「お願いします。ゴルドさんの膝の話が、今日も役に立ちました」
ミアは何も言わなかった。少しだけ棚の方を見て、出ていった。
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夜、経営の書を開いた。
「約束に数字が加わる時、それは次の段に上がったということだ。数字の大きさではなく、積み上げてきたものが正しかったという証になる。積み上げ続けることが、次の数字を決める」
(来月は百五十本)
棚を見た。通常品が百十六本。混合品が十三本。
明日も採りに行く。




