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第24話:月の見通し

 翌朝、大空洞に入った。


 採取ポイントでミストハーブを三本採り、大空洞へ向かった。


 第三耕地の前に立った。昨日ミアと造成した場所だ。ミアが「ここだ」と言った場所。土の感触を一度確かめてから、種袋を取り出した。布袋の底に集めておいたミストハーブの種。黒い小粒を指の腹に乗せて数えると、二十三粒あった。


 光が当たる場所から始めた。指で小さな窪みを作り、一粒ずつ入れ、土を薄くかぶせる。一粒、二粒、三粒——声に出さず数えながら、二十粒を均等に並べた。残り三粒は第一耕地の空いた場所に追加した。最後に水場から水をかけた。


(これで三か所になった)


 第一耕地、第二耕地、第三耕地。場所がある限り、やれることはある。



 第一耕地に移った。残り二粒の芽を確かめた。


 指の腹で押した。——弾き返してきた。昨日より力が強い。


 二粒目を押した。同じだ。


(今日だ)


 一本目の茎を根元の少し上から折り取った。青白い汁がにじんだ。採取ポイントで採る時と同じ感触だ。


 二本目も折り取った。二本が手の中にある。


 耕地の初収穫から数えて、二度目だ。


 第二耕地の霧花草の葉を六枚採り、水場で手を洗った。帰りの袋を確かめながら歩いた。採取ポイントの三本、耕地の二本、霧花草の六枚。



 小屋に戻って乾燥台に材料を並べた。


 採取ポイントの三本と耕地の二本。計五本が台の上に並んだ。炭に火をつけて弱火を整える。一時間ほど待てばいい。


 待つ間、経営の書を開いた。気の向くままにページをめくった。


 開いたページに一節があった。


「量を読めない者は、先を読めない。量が読めた時、初めて先の手が打てる」


 レインはそのページをしばらく見ていた。


 月に何本出せるか——今、少しずつ読めてきている。


 採取ポイントから毎日三本ほど。第一耕地の最初の収穫は種蒔きから十八日後だった。五粒が育って、最初の三粒が十八日。残りの二粒がそこから五日後。一粒が育つのに十八日から二十三日、その後は五日前後で再収穫できる。


 第三耕地の二十粒が全部育てば——七日ほどで最初の芽が出て、十八日前後で収穫になる。そうなれば第一耕地と合わせて月に何十本という数が出てくる。


 計算が得意ではない。でも、今よりずっと多くなることはわかる。


 乾燥が終わった。ミストハーブを刻んで鍋に入れた。水を加えて弱火で煎じた。完成した液体を小瓶に移した。薄い緑色、光を帯びてわずかに輝く。今日は通常品が五本できた。


 霧花草を加えた混合品も一本仕上げた。甘い匂いが小屋の中に広がった。深緑の小瓶を棚に加えた。


 棚を眺めた。通常品が十一本ほど、混合品が二本。



 夕方、シルバじいさんを訪ねた。


「第一耕地の二回目の収穫ができました。今日で五本、通常品が増えました」


「そうか」じいさんは少し前に出た。「一回目の収穫からは何日だ」


「五日です。三粒から始まって、残り二粒が今日でした」


「五日か」じいさんはしばらく考えた。「次に育つとしたら——今日追加した三粒と、第三耕地の二十粒になるか」


「はい。第三耕地は昨日種を蒔きました。七日で芽が出れば、さらに十日ほどで収穫できるかもしれません」


「うまくいけば、半月後には第三耕地から初収穫か」


「そうなります」


 じいさんは椅子に座り直して、しばらく天井の方を見た。「月に何本出るか、少し見えてきたか」


「採取ポイントが月に九十本ほど。耕地が今月二十本前後になりそうです。第三耕地が育てば、来月は耕地だけで五十本を超えるかもしれません」


「採取ポイントと合わせれば百本を超えるな」


 じいさんはそこで少し黙った。表情が変わったような気がした。


「じいさん、どうしましたか」


「……いや」じいさんは視線を戻した。「百本というのは、月に百本ということだ。一日に三本以上が出ることになる。ドゥルガへの月十本という話が、いつのまにかずいぶん小さい話になってきたな」


「ドゥルガさんは「全部買う」と言っていました。でもエクラのセイロスさんへ持っていく話もあります」


「そうだ。月に百本が安定して出るなら——エクラのセイロスに話を持ち込む段階になる。ドゥルガがつなぎをとってくれている」


「ドゥルガさんがセイロスさんに話を通してくれているんですか」


「そういう話をしていた。確かめたいなら、次にドゥルガが来た時に聞いてみろ」


 レインはうなずいた。ドゥルガが来るのはそろそろの頃だ。


「混合品の方はどうしますか。棚に二本あります」


「急いで売らなくていい。ゴルドの膝の話が続いているなら、もう少し経過を見てから動いた方がいい」じいさんは少し間を置いた。「ミアから何か聞いたか」


「湿気の日に重くならなかったと、昨日教えてもらいました」


「それが続くかどうかだ。一度だけでなく、何度も同じ結果が出れば——古傷への効果が確かめられたことになる。そうなれば混合品の価値が変わる」


「通常品との違いが、はっきりする」


「そういうことだ」じいさんは立ち上がった。「今の混合品は二本だ。大切に持っておけ。当分は見せるために使え、売るためではなく」



 帰り道、夕暮れの山道を下りながら、頭の中で数えた。


 採取ポイント毎日三本、月に九十本。耕地が今月二十本、来月以降は増える。月に百本を超える日が来る。


 ドゥルガが来れば、まとまった量を売れる。セイロスへの話が動けば、さらに大きくなる。


 今は十一本の在庫がある。ドゥルガが来るまでにもう少し増える。


(準備ができてきた)


 そう思えることが、今のところ一番大事なことだった。


 鍛冶場の前を通ると灯りがついていた。


「ミア、報告がある」


 ミアが顔を上げた。


「第一耕地の二回目の収穫ができた。第三耕地にも種を蒔いた」


「うまくいったか」


「採れた。採取ポイントのものと、見た目も匂いも変わらなかった」


「そうか」ミアは工具を一本、棚に戻した。「第三耕地は今日蒔いたのか」


「うん。光と霧と水分が揃っている場所だったから、育つと思う。ミアに見てもらった場所だから」


 ミアは少し黙った。「育ったら教えてくれ」


「もちろん」


 扉が閉まった。


 レインは夜道を歩いて小屋へ戻った。棚の通常品十一本と混合品二本を眺めてから、炭の残りを確かめた。明日また採りに行く。採って、乾かして、煎じる。それを繰り返す。


 数が読める日は、もう遠くない。

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