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XRX-03:灰色の咆哮  作者: 装機伊織
第6基
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王族の間

王族の間は、静寂と紫の光に満ちていた。


巨大な結晶の壁が淡く輝き、

王族たちが永遠の眠りについた姿が、

透明な紫の塊の中に閉じ込められている。

その光景は美しく、しかしどこか残酷だった。


エリスはアルカナ・リンクの中で、

長い間、言葉を失っていた。


守護者「ガーディアン・オブ・エテル」は、

槍を静かに地面に立て、

恭しく一礼した。


「姫……

これが、エテルリア王族の最期の姿です。

自らの命と粒子を捧げ、

暴走を一時的に抑え込んだ……

しかし、完全には鎮めきれなかった。

その役割を、今、あなたに託すことになります」


エリスは震える声で尋ねた。


「……私に……何ができるの?

私はまだ……何も覚えていないのに……」


守護者はゆっくりと頭を上げ、

重々しい声で告げた。


「あなたには、王族の血が最も強く流れています。

エーテル粒子と深く結びつく力……

それが、姫である証です。


ですが、

力を完全に取り戻し、

この回廊を鎮めるためには……

**試練**を受けなければなりません」


エコーが即座に反応した。

「試練だと?

エリスに何をさせるつもりだ」


守護者は穏やかだが、決して譲らない口調で続けた。


「王族の間よりさらに奥……

『起源のオリジン・チャンバー』と呼ばれる場所があります。

そこは、大共鳴の中心地。

エーテル粒子が最も濃く、

最も純粋な形で存在する聖域です。


そこで姫は、

自分の過去と向き合い、

王族としての記憶と力を取り戻す試練を受けます。

成功すれば、

あなたは真の『エーテルの姫』として目覚め、

この回廊の暴走を鎮めることができるでしょう。

失敗すれば……

粒子に飲み込まれ、

永遠に結晶の一部となるでしょう」


ガイルが低く唸った。

「失敗したら結晶になるって……

随分と厳しい試練じゃねえか。

エリスちゃんを賭け事みたいに扱うんじゃねえよ」


セラが静かに言った。

「……エリス。

無理に受ける必要はない」


エリスは長い沈黙の後、

ゆっくりと口を開いた。


「……受ける。

お父様とお母様が、

みんなが……

私を守るために命を捧げたのに、

私が逃げてばかりじゃ……

意味がない」


彼女の声はまだ震えていたが、

そこには確かな意志が宿っていた。


「私……知りたい。

自分が誰だったのか。

お姉ちゃんがどんな思いで私を逃がしたのか……

そして、私に何ができるのか……」


守護者が静かに頷いた。


「覚悟を決めたのですね。

よろしい。

では、起源の間への道を開きましょう。

ただし……

試練は一人で行うものです。

他の者は、入口までしか同行できません」


エコーが厳しい声で言った。

「エリスが危険に晒されるなら、

俺は絶対に止める。

それだけは覚えておけ」


守護者は静かに答えた。


「わかりました。

姫の意志を尊重します。

……どうか、ご無事で」


紫の粒子が再び渦を巻き、

王族の間の奥の壁がゆっくりと開き始めた。

そこから、さらに濃い紫の光が漏れ出している。


エリスはアルカナ・リンクの操縦桿を強く握り、

静かに呟いた。


「……お姉ちゃん……

みんな……

私、頑張るから……」


エコーはエリスの機体をじっと見つめ、

心の中で誓った。


(エリス……

お前が本当に望むなら、

俺は見守る。

だが、危険を感じたら……

必ず止める)


紫の光が、

一行を新たな運命へと誘っていた

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