紫の回廊 ── 失われし記憶の回廊
昔々、まだ世界が「灰色」になる遥か以前。
ノヴァリア大陸の深部には、ひとつの巨大な地下都市があったという。
人々はそれを「エテルリア」と呼んだ。
エーテル粒子が自然に湧き出る大地に築かれた、古代の栄華を極めた文明の都。
エテルリアの人々は、エーテル粒子を「神の血」と崇め、
それを操る技術を極めた。
空を飛ぶ都市、粒子でできた光の橋、
そして死者すら呼び覚ますと言われた「生命の回廊」。
彼らは粒子を「リンク」させることで、
人、機械、自然をひとつに繋ぐ奇跡の技術を手に入れた。
しかし、繁栄は長く続かなかった。
ある日、
エーテル粒子が暴走した。
人々はそれを「大共鳴」と呼んだ。
紫の光が空を覆い、都市は一夜にして地下深くに沈んだ。
生き残った者は少なく、
彼らは語り継いだという。
「紫の光が満ちた回廊こそ、
神の祝福と神の怒りが交わる場所である。
そこに足を踏み入れる者は、
自らの記憶と運命を問い直されるだろう……」
時が流れ、世界は灰色に染まった。
企業が支配する時代が訪れても、
人々はあの地下を恐れ、近づこうとはしなかった。
しかし、ある時を境に、
紫色の粒子が再び地上に漏れ出し始めた。
人々は震えながら、その場所をこう呼ぶようになった。
「紫の回廊」
そこは、ただの遺跡ではない。
エーテルが最も濃く、
最も危険に満ち、
最も「記憶」を呼び覚ます場所——
失われた古代文明エテルリアの、最後の息吹が眠る聖域。
今もなお、
紫の粒子は静かに囁き続ける。
「来るがよい。
お前が何者であるか、
ここで知るがよい……」




