受け継がれるフレー厶
ナイトメアの拠点は、穏やかな午後の光に包まれていた。
エリスはハンガーの一角で、
古い機体のフレームをじっと見つめていた。
それは、レオンの前の機体——XRX-03の残骸だった。
ヴォイド・リーパーは外され、
外装の大部分が剥がれ、
ただの骨格のような状態でドックに固定されている。
エコーはその傍らに立ち、
静かにエリスに声をかけた。
「エリス……
これが、レオンの前の機体だ。
XRX-03。
今はフレームだけだけど……
お前が欲しいと言うなら、
このフレームを、お前に譲ろう」
エリスは目を丸くしてエコーを見上げた。
「……本当に?
私に……くれるの?」
エコーは頷いた。
「ああ。
お前が自分の機体を欲しがった時から、
俺はこれを思い浮かべていた。
レオンの機体を、お前が継ぐ。
外装と内部インターフェイスは、
エリス用にチューンしてもらう。
ガイルとリナが、
お前の粒子反応に合わせた専用設計をしてくれるはずだ」
ガイルが工具を片手に近づいてきて、
笑顔で言った。
「任せろ!
このフレームは頑丈だぜ。
エリスちゃんの粒子を活かした軽量外装に仕上げる。
エーテル粒子を直接操れるような、
エリスちゃんだけの機体にしよう!」
リナがデータパッドを操作しながら加わった。
「内部インターフェイスはエリス専用に最適化するわ。
神経接続深度を抑えめに調整して、
負担を最小限に。
粒子制御システムも新しく設計する。
完成したら……きっと、素敵な機体になるはずよ」
セラは少し離れたところで静かに見守り、
小さく頷いた。
「……エリスに、似合う機体」
エリスはXRX-03のフレームに近づき、
震える手で冷たい金属に触れた。
青紫の粒子が、指先から少しだけ漏れ出し、
フレームに吸い込まれるように消えた。
「……レオンさんの……機体……
私、頑張る。
みんなを守れるように……
強くなる」
エコーはエリスの肩に手を置き、
静かに言った。
「そうだ。
お前はもう、失敗作なんかじゃない。
お前は、エリスだ。
ナイトメアの仲間だ」
ガイルが笑いながら工具を振り上げた。
「よし!
早速作業開始だ!
エリスちゃん、完成したら一緒に飛ぼうぜ!」
リナが微笑み、
「デザインもエリス好みに調整するわ。
どんな色がいい?」
エリスは少し考えて、
エコーの機体を見てから答えた。
「……青と……紫……
エコーみたいに……
きれいな色がいい」
エコーは小さく笑った。
「わかった。
それでいこう」
ハンガーに、工具の音と笑い声が響き始めた。
XRX-03のフレームは、
新たな命を吹き込まれるために、
静かに待っていた。
エコーは皆の様子を見ながら、
心の中で呟いた。
(レオン……
お前の機体は、
今、エリスの手に渡る。
お前が目を覚ました時……
きっと、喜んでくれるはずだ)
風がハンガーの扉を優しく揺らした。
エリスの新しい機体は、
まだ見ぬ未来に向かって、
静かに生まれ変わろうとしていた




