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XRX-03:灰色の咆哮  作者: 装機伊織
第5期
51/65

舞い降りる悪夢

灰色の海は、炎と爆発の音に包まれていた。


ヴォルテック船「ガーディアン号」はすでに半壊状態で、

波に飲み込まれそうになりながら漂っていた。

エコーのファントム・クロノスは翼を失い、海面すれすれで辛うじて浮かんでいる。

ガイルのアイアン・フォートレスはシールドを失い、

セラのシャドウ・ストライカーは脚部が破壊され、

リ・スターのハウンド隊も次々と撃墜されていく。


アルテミス連邦の水中部隊が容赦なく襲いかかり、

エネルギー魚雷が船体を次々と貫く。


エコーはコックピット内でエリスを抱きしめ、

最後の力を振り絞って通信を送った。


「みんな……すまない……

ここまでか……」


エリスが震える声で言った。

「エコー……ごめん……

私のせいで……」


その瞬間——


空の彼方から、青紫の光の軌跡が一直線に落ちてきた。


それは、圧倒的な存在感を放ちながら、

灰色の空を切り裂いて舞い降りた。


エルテウスヴァルキリー


背部のエーテルウイングが大きく広がり、

青紫の粒子が美しい光の尾を引きながら、

戦場の上空に姿を現した。

機体の目は深く輝き、

胸部の改良型ジェネシスが強く脈打っている。


誰も搭乗していないはずの機体だった。

しかし、その動きは完璧で、

昏睡状態のレオンの意識と一時的にリンクしていた。


レオンの声が、かすかに全員の通信に響いた。


「……みんな…… 待たせたな…」


エルテウスヴァルキリーが急降下。

ウィングパックが最大出力で噴射され、

音速を超える速度でアルテミス連邦の水中部隊に突っ込んだ。


高エーテルライフルが両手に展開。

青紫の粒子弾がマルチロックオンで一斉に発射され、

敵機を次々と貫いた。

一機、二機、三機……

圧倒的な性能差。

敵のエネルギー魚雷はことごとくかわされ、

反撃のランスはエーテルシールドに弾かれる。


リ・スターが呆然と叫んだ。

「なんだ……あの機体……!?

XRX-03……いや、新型……!?

なぜここに……!?」


エコーも息を飲んだ。

「レオン……!?

なのか……!」


エルテウスヴァルキリーは容赦なく動き続けた。

ヴォイド・リーパーが赤紫に輝き、

敵の機体を分子レベルで切り裂く。

ジェネシスが連続発射され、

海面を次々と爆発させる。


アルテミス連邦の水中部隊は、

瞬く間に壊滅した。

残った数機が慌てて撤退を始めるが、

エルテウスヴァルキリーの翼端から放たれた粒子弾が、

すべてを撃ち落とした。


戦場に静寂が訪れた。


エルテウスヴァルキリーはゆっくりと船の近くに降下し、

エコーたちを救出した。

エリスをファントム・クロノスから移乗させ、

負傷した仲間たちを回収する。


しかし、その直後——


機体の目が一瞬強く輝き、

リンクが切れた。


エルテウスヴァルキリーは静かに動きを止め、

海面に膝をついた。

コックピットハッチがゆっくり開くが、

中には誰もいなかった。


ただ、青紫の粒子だけが、

静かに舞っていた。


あとから駆けつけたリ・スターのハウンド・プライムが、

その光景を見て絶句した。


「な……なんだよ、これ……!

なぜこの機体がここに……!?

レオンは昏睡してるはずだろ……!?

コックピットに……誰もいない……!」


エコーはエリスを抱きかかえ、

静かに機体を見つめた。


「……レオン。

お前が……俺たちを救ってくれたんだな」


紫の粒子が、

穏やかに風に溶けていく。


戦いは終わった。

だが、物語はまだ、続いていく

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