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XRX-03:灰色の咆哮  作者: 装機伊織
第5期
50/65

絶体絶命の先

ヴォルテック船「ガーディアン号」は、灰色の海に炎と煙を上げながら漂っていた。


駆動系に受けた致命的な損傷で速度は大幅に低下し、

船体は傾き、波に飲み込まれそうになっていた。

エコーはファントム・クロノスで船の上空を旋回し、

エリスをコックピット内に守りながら、

追撃してくるアルテミス連邦の水中部隊を必死に牽制していた。


「ガイル! 船の右舷を守れ!

セラ、敵の頭部を狙え!」


ガイルのアイアン・フォートレスが船の側面に張り付き、

シールドを展開してミサイルを防ぐが、

連続するエネルギー弾がシールドを削り、

機体に火花が散る。


「ぐわっ……!

シールドが持たねえ!

このままじゃ船ごと沈むぞ!」


セラのシャドウ・ストライカーが高所からレールライフルを連射するが、

水中から浮上した敵機の動きは素早く、

ほとんど命中しない。

一発がようやく敵の1機を貫いたが、

残りの機体が船に接近し、

エネルギーランスで船体を切り裂き始めた。


エコーはファントム・クロノスで急降下し、

ジェネシスを連続発射。

2機を撃墜するが、

敵の数は減らない。

新手の増援が次々と海面から浮上してくる。


エリスがコックピット内で震えながら言った。

「エコー……船が……壊れはじめてる……」


エコーは少女を強く抱きしめ、

歯を食いしばった。

「大丈夫だ、エリス。

俺が守る……!」


その瞬間、

敵のエネルギーミサイルがファントム・クロノスの翼を直撃した。

爆発が起き、翼が大きく損傷。

機体がバランスを崩し、

海面すれすれまで落下する。


「くっ……!」


エコーの機体が致命傷を負った。

ジェネシスの出力が急落し、

重力制御が不安定になる。

ガイルの機体もシールドが完全に破壊され、

セラの機体は脚部を失い、飛行がままならない状態に。


リ・スターの絶叫が通信に響いた。

「エコー! みんな!

耐えてくれ!

今、支援を急がせてる!

絶対に耐えてくれよ……!」


だが、状況は絶望的だった。

船は炎上し、沈みかけ、

ナイトメアの機体は次々と致命傷を負い、

動ける機体はほとんどなくなっていた。


エコーはエリスを抱きしめ、

最後の力を振り絞って通信を送った。

「リ・スター……みんな……

すまない……

ここまでか……」


その時——


ハンガーの奥、

ヴォルテックが急遽持ち込んだ特別ドックで、

一機の機体が静かに起動した。


=エルテウスヴァルキリー=


機体の目が、深く青紫に輝く。

背部のエーテルウイングがゆっくり展開し、

粒子が美しい光の翼のように広がる。

胸部の改良型ジェネシスが脈打ち、

両手の高エーテルライフルが青白く光を帯びる。


昏睡状態のレオンが横たわる医療ポッドの傍らで、

機体は静かに浮上した。

エーテル粒子がコックピットに流れ込み、

レオンの意識と一時的にリンクした。


レオンの声が、かすかに響く。


「……みんな……

俺が……行く……」


エルテウスヴァルキリーの目が、強く輝いた。

青紫の粒子が爆発的に噴出し、

機体はハンガーの天井を突き破り、

灰色の空へ舞い上がった。


遥か遠くの海上で、

エコーたちは絶望の淵に立っていた。


だが、空の彼方から、

青紫の光の軌跡が、

空に残る

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