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XRX-03:灰色の咆哮  作者: 装機伊織
第5期
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判断

ファントム・クロノスのコックピット内で、エコーはエリスを強く抱きしめていた。


警備兵のエネルギー弾が廊下を埋め尽くし、

壁が崩れ、火花が飛び散る。

エコーは重力制御を最大にし、

機体を低く滑らせるように移動しながら、

ジェネシスを近接モードで振り回した。


「エリス、目を閉じていてくれ!」


青白い光の槍が、警備兵の1機を貫く。

残る2機が同時に突っ込んでくるが、

エコーは翼を展開して急旋回、

粒子弾を連射して両機を撃墜した。


コックピット内でエリスが小さく震えていたが、

エコーの胸に顔を埋め、

必死に耐えていた。


戦闘終了。

廊下に敵の残骸が散らばり、

静寂が戻った。


エコーは息を整え、

通信で皆に伝えた。

「警備兵を排除した。

作戦続行する。

中央サーバールームへ向かう」


ガイルの声がすぐに返ってきた。

「了解!

外周は俺が抑えてる。

エリスちゃん、大丈夫か?」


エコーはエリスを優しく抱き直し、

「大丈夫だ。

もう少し我慢してくれ」


少女は震える声で答えた。

「……うん。

エコーがいるから……頑張る」


エコーはファントム・クロノスを再び前進させ、

中央サーバールームを目指した。

しかし、廊下の奥で足音が響いた。


現れたのは、1機の軽量級機体。

アルテミス連邦の特殊部隊のマークが入った、

白と青のスリムな機体。

胸部に小さなアンテナを持ち、

エネルギー刃を構えている。


通信が開いた。

女性の声が、緊張を帯びて響く。


「そこまでだ。

E13を連れて、ここからすぐに撤退しろ。

……今すぐだ」


エコーは機体を止め、

警戒を強めた。

「誰だ?」


相手は少し語り始めた

「アルテミス特殊部隊、ルル。

E13……の実験に関わっていた一人だ。

お前たちがここにいることは、すでに連邦上層部にバレている。

このまま進んでも、罠が待っているだけだ。

今すぐ撤退しろ。

命だけは助けてやる」


エコーは一瞬、迷った。

ルルの声には、敵意よりも、

どこか切迫した響きがあった。


「なぜ、俺たちに警告する?

お前は連邦の人間だろう」


ルルは短く息を吐いた。

「私は……実験の結果を、ずっと見てきた。

E13は失敗作なんかじゃない。

ただ、連邦は彼女を兵器としてしか見ていない。

お前たちが連れて行くなら……まだ、救えるかもしれない。

だから、早くここから出ろ。

もう時間がない」


エコーはエリスを抱きしめ、

すぐに判断した。

「わかった。

撤退する」


ファントム・クロノスを急旋回させ、

来た道を全力で引き返す。

ルルの機体は追撃せず、

ただ静かに見送るように佇んでいた。


「エコー……あの人は……?」


エリスが不安げに尋ねる。

エコーは少女を優しく抱きしめながら答えた。

「わからない。

だが……味方だったのかもしれない。

今は、生きて帰ることを優先する」


外周で待機していたガイルとセラが、

即座に合流した。

ガイルが叫ぶ。

「エコー! 無事か!

何かあったのか?」


エコーは短く答えた。

「ルルという特殊部隊員に遭遇した。

撤退を勧告された。

……作戦は一旦中止。

拠点に戻る」


輸送機が急接近し、

全員を回収した。

船はノヴァリア大陸の夜空を切り裂き、

仮拠点へと急いだ。


エコーはコックピット内で、

エリスを抱きしめながら静かに考えていた。


(ルル……お前は何者だ?

エリスを、なぜ守ろうとした?)


エリスはエコーの胸に顔を埋め、

小さな声で呟いた。

「……エコー……ありがとう。

私、怖かったけど……エコーがいてくれたから、大丈夫だった」


エコーは少女の頭を撫で、

心の中で誓った。


(俺はこの子の未来を守る)


船は灰色の海を越え、

仮拠点へと戻っていった。

アルテミシアの影は、

まだ深く、静かに息を潜めていた

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