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XRX-03:灰色の咆哮  作者: 装機伊織
第4期
43/65

古代からの残響

遺跡の地下は、冷たく湿った空気が重く淀んでいた。


ナイトメアとハウンドの連合は、慎重に紫色の鉱脈に近づいていた。

ガイルのアイアン・フォートレスが先頭に立ち、

岩盤を削りながら道を確保する。

セラのシャドウ・ストライカーは高所の岩棚から狙撃態勢を取り、

リ・スターのハウンド隊が外周を固めていた。


エコーはファントム・クロノスで上空を旋回し、

エリスをコックピット内に乗せたまま全体を監視していた。

少女はエコーの背中に寄りかかり、

時折、青紫の粒子が指先から漏れ出している。


リ・スターの熱い声が通信に響く。

「エーテルのサンプル、そろそろ採取できるぜ!

みんな、気をつけろよ!」


ガイルが採取ツールを展開し、

紫の結晶を慎重に削り始めた。

淡い粒子が空気に舞い上がり、

遺跡全体が微かに震えるような感覚がした。


その瞬間——

遺跡の奥深くから、低く重い振動が響き渡った。


地面が激しく揺れ、

壁面の岩が崩れ落ちる。

エコーのセンサーが最大警戒を発した。


「何か来る!

大型機体……1機!

反応は……古代の無人兵器!?」


暗闇の奥から、

異様なシルエットがゆっくりと姿を現した。


それは、ムカデのような長い多脚機体だった。

全長は30メートルを超え、

黒く錆びついた装甲に、無数の脚が蠢いている。

頭部には赤いセンサーが点滅し、

古代の無人兵器——旧時代の遺跡に眠っていた守護機だった。

ヴォートの残党が起動させたのか、

それとも遺跡の防衛システムが反応したのか、判断がつかない。


機体は高速で接近し、

先頭のガイルに体当たりを仕掛けた。

アイアン・フォートレスのシールドが悲鳴を上げ、

ガイルが後退を余儀なくされる。


「ぐわっ……!

こいつ、硬え!」


セラのレールライフルが火を噴くが、

ムカデの装甲は古代の特殊合金で、

弾丸を容易く弾き返す。

リ・スターのハウンド・プライムがプラズマ・ランスで突っ込むが、

多脚のひとつに絡め取られ、振り回される。


エコーはファントム・クロノスで急降下し、

ジェネシスを連射。

光線がムカデの胴体を掠めるが、

機体はほとんどダメージを受けていない。


「くそ……動きが予測できない!

古代の無人兵器……学習機能が残ってる!」


戦闘は大苦戦となった。

ムカデの脚が鞭のように襲いかかり、

連合の機体を次々と弾き飛ばす。

ガイルのシールドがひび割れ、

セラの機体が岩壁に叩きつけられ、

リ・スターのランスが折れかかる。


レオン不在の今、

エコーがリーダーとして叫んだ。

「みんな、散開!

連携を崩されるな!」


だが、ムカデの圧倒的なサイズと耐久力の前で、

ナイトメアの攻撃はほとんど通用しない。

エコーのジェネシスが何発か命中しても、

機体は再生するように動き続ける。


ガイルが苦しげに叫ぶ。

「もう……だめか……!

このままじゃ、全滅だ!」


エコーは歯を食いしばった。

(レオンなら……どうする?

俺は……まだ、影のままか……)


その時、コックピット内のエリスが、

突然体を震わせた。


「……痛い……

でも……守りたい……」


少女の瞳が強く青紫に輝き、

指先から大量の粒子が溢れ出した。

粒子はファントム・クロノスを通じ、

遺跡全体に広がっていく。


ムカデの動きが、突然止まった。

無数の脚が硬直し、

赤いセンサーが激しく点滅する。


エコーの目が見開かれた。

「エリス……お前……!」


エリスは震える声で言った。

「動かないで……

お願い……」


粒子がムカデのコアに干渉し、

古代の無人兵器の制御システムを一時的に麻痺させた。

その隙に、エコーはファントム・クロノスを急接近。

ジェネシスを最大出力でチャージし、

近接モードに切り替えた。


「今だ!」


青白い光の槍が、

ムカデの頭部を貫いた。

機体が激しく痙攣し、

ついに動きを止めた。


エコーは息を荒げ、

エリスを抱きしめた。

「よくやった……エリス。

お前のおかげだ」


エリスは小さく微笑み、

疲れ果ててエコーの胸に倒れ込んだ。


ガイルが安堵の息を吐く。

「すげえ……エリス、ありがとうな!」


リ・スターが興奮気味に叫んだ。

「これでサンプル採取完了だぜ!

みんな、よく頑張った!」


サンプル採取は、なんとか成功に終わった。

紫の結晶を慎重にケースに収め、

連合軍は遺跡を後にした。


帰還途中の輸送機内で、

エコーはエリスを膝の上に乗せ、

静かに言った。


「お前は……ただの失敗作なんかじゃない。

お前は、俺たちの希望だ」


エリスは眠そうに目を細め、

小さな声で答えた。


「……エコー……ありがとう……」


仮拠点に戻った皆は、

疲れながらも、互いの無事を喜び合った。

だが、エコーの胸には、

エリスの力と、

これから来るさらなる影の予感が、

静かに広がっていた

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