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XRX-03:灰色の咆哮  作者: 装機伊織
第4期
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紫の呼び声

観光から帰ってきてから2日が経った。


ナイトメアの仮拠点は、少しずつ落ち着きを取り戻していた。

エリスはエコーの近くにいることが多くなり、

時折、青紫の粒子を指先で遊ばせながら、

静かに笑うようになった。


エコーはファントム・クロノスの整備をしながら、

少女の様子を横目で見ていた。

(エリス……お前が笑えるようになったのは、

少しだけ、俺の役目が果たせているということか)


その時、ハンガーの通信端末が鳴った。

ヴォルテック第1中隊、リ・スターからの直通回線だった。


エコーが応答すると、

リ・スターの熱い声が響いた。


「エコー! 元気か!

ヴォルテックから緊急の依頼が来たぜ。

内容は……『エーテルのサンプル採取』だ。

ノヴァリア大陸の地下遺跡に、微量のエーテル鉱脈が見つかったらしい。

ナイトメアに、採取と護衛を依頼したいってよ!」


エコーは一瞬、動きを止めた。

エーテル——

観光地で耳にした、あの紫の鉱石の名前。

エリスが反応を示した、あの粒子。


「エーテル……か。

詳細は?」


リ・スターが続ける。

「報酬はかなりいい。

ヴォルテックはエーテルを粒子合成炉の新素材として欲しがってる。

ただ、遺跡はアルテミス連邦の影響圏に近い。

ヴォートの残党も狙ってる可能性がある。

お前らで採取して、運んでくれ。

俺たちハウンドも外周を固めるぜ!」


エコーは通信を一旦保留にし、

皆を集めた。


ガイルが腕を組んで言った。

「エーテルねえ……

観光地で噂になってたやつか。

採取するなら、俺のアイアン・フォートレスで守るよ」


リナがデータパッドを操作しながら分析した。

「エーテルは高密度エネルギー粒子を蓄積する希少鉱石。

粒子合成炉の効率を劇的に上げる可能性があるわ。

ただ、未知のリスクもある。

特に、エリスが反応を示していた粒子に似ている……」


セラは静かに頷いた。

「……警戒が必要」


エコーは皆を見回し、

リーダーとして作戦を立て始めた。


「依頼は受ける。

エーテルはヴォルテックの力になる。

同時に、俺たち自身の強化にも繋がる可能性がある。

作戦はこうだ——

俺がファントム・クロノスで上空から偵察と援護。

ガイルは地上で物理防衛。

セラは高所から狙撃支援。

リナは拠点でデータ解析と通信統制。

遺跡内部は狭いので、少人数で潜入。

エリスは……ここに残す。

彼女を危険に晒すわけにはいかない」


ガイルが親指を立てた。

「了解!

守るべきものは、しっかり守るぜ」


リナが微笑んだ。

「分析は任せて。

エーテルのサンプルが手に入れば、

レオンの治療にも役立つかもしれない」


セラが静かに言った。

「……エリスを守る。

それが、今の俺たちの役目だ」


エコーは頷き、

通信を再開した。


「リ・スター、依頼を受ける。

作戦を立てた。

明日、行動開始だ」


リ・スターが熱く笑った。

「よっしゃ!

一緒に、いい仕事しようぜ!」


通信が切れると、エコーはエリスの方を見た。

少女はベッドの上で、

静かにエコーを見つめ返していた。


「エコー……また、危ないの?」


エコーは少女の頭を優しく撫でた。

「大丈夫だ。

俺たちが帰ってくるまで、ここで待っていてくれ。

お前は、もう一人じゃない」


エリスは小さく頷いた。

その瞳に、青紫の粒子が優しく瞬いた。


エコーは心の中で誓った。


(レオン……お前がいない今、

この子を守りながら、

俺たちは前へ進む。

エーテルが何であれ……

俺たちの悪夢は、止まらない)


ノヴァリア大陸の夜は、

静かに、しかし確実に、

新たな影を落としていた

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