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XRX-03:灰色の咆哮  作者: 装機伊織
第4期
37/65

護るべき影

ナイトメアが新大陸に構えた仮拠点は、

ノヴァリア大陸東部の廃墟となった旧工業区画の地下施設を急遽改修したものだった。

ヴォルテックの支援で最低限の照明と電源は確保されていたが、

まだ埃っぽく、簡素な空間が広がっている。


エコーはファントム・クロノスをドックに収め、

エリスを抱きかかえてハンガー中央に降り立った。

少女はまだ怯えた様子で、エコーの胸に顔を埋めている。


ガイルが最初に駆け寄ってきた。

「エコー、無事か!

……その子が、例の少女か?」


リナがデータパッドを片手に近づき、

エリスの様子を素早く確認した。

「記憶喪失……そして、奇妙な粒子反応。

ヴォートの実験体だった可能性が高いわ。

敵が言っていた『実験の失敗作』という言葉……本当かもしれない」


セラは少し離れたところで静かに少女を見つめ、

何も言わずにただ見守っていた。

その瞳には、穏やかな決意が宿っている。


エコーはエリスを簡易ベッドに座らせ、

皆に視線を向けた。

リーダー代理として、初めて皆の前で言葉を発する。


「彼女はE13……俺はエリスと名付けた。

ヴォートの残党が狙っている。

アルテミス連邦も、彼女を欲しがっているらしい。

俺たちは……彼女を守る」


ガイルが腕を組んで頷いた。

「守る、か。

俺のアイアン・フォートレスで、徹底的に守ってやるよ。

どんな敵が来ても、全部受け止めてやる」


リナがデータパッドを操作しながら言った。

「分析するわ。

彼女の体に埋め込まれている粒子反応……

ヴォートの感覚共有システムの残滓かもしれない。

失敗作と言われていたけど、

それが本当なら、彼女はまだ不安定よ。

データを集めて、守る方法を考えないと」


セラは静かに、しかしはっきりと言った。

「……見守る。

彼女が怖がらないように。

私たちにできることを、静かにやる」


エコーは皆の言葉を聞き、

小さく息を吐いた。

レオンがいない今、自分がリーダーとして皆をまとめなければならない。

その重圧を感じながらも、

彼は静かに作戦を立て始めた。


「敵はヴォートの残党と、アルテミス連邦の可能性がある。

拠点の防衛を強化し、

エリスを外に出さない。

俺のファントム・クロノスで上空警戒を常時行う。

ガイルは物理防衛、リナはデータ解析、セラは狙撃支援。

……レオンなら、どうするだろうな」


ガイルが笑って肩を叩いた。

「レオンなら、迷わず守ると言って、

一番前に立って戦うさ。

お前も、そうしろよ、エコー。

影じゃなく、堂々と前に出ろ」


エコーは一瞬、目を細めた。

「……そうだな。

俺も、悪夢として前に出る」


エリスはベッドの上で、

皆の会話を静かに聞いていた。

彼女の瞳に、再び淡い青紫の粒子が微かに瞬いた。

それは、ヴォートの失敗作と言われた「力」の残り火だった。


リナが少女に優しく声をかけた。

「エリス……怖くない?

ここは安全よ。

私たちが守るから」


エリスは小さく頷き、

エコーの方を見て、

かすかな声で言った。


「……エコー……ありがとう」


エコーは少女の頭を優しく撫で、

心の中で誓った。


(レオン……お前がいない今、

俺がこの子を守る。

お前の悪夢を、俺が継ぐ)


仮拠点の照明が、赤と青に静かに揺れた。

ノヴァリア大陸の夜は、まだ深く、

少女をめぐる影は、ゆっくりと広がり始めていた

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