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XRX-03:灰色の咆哮  作者: 装機伊織
第4期
33/65

新大陸

ナイトメアの地下拠点は、静かだった。


レオンが昏睡状態に陥ってから、すでに1ヶ月が経過していた。

医療ポッドの中で、彼は目を閉じたまま微動だにしない。

虚空の痛みが神経を蝕み続け、

回復の兆しはまだ見えない。


エコーはファントム・クロノスのドックに立ち、

静かに機体を見つめていた。

皆から「リーダー代理」を任されて以来、

彼は影から表へ出ることを強いられていた。


リナが近づいてきて、データパッドを差し出した。

「エコー。グリム商会から依頼が来たわ。

内容は『ノヴァリア大陸への重要人物護衛』。

報酬は悪くない。

ヴォルテックも後押ししてる」


エコーはパッドを受け取り、内容を確認した。

グリム商会は旧大陸と新大陸の交易を扱う中立的な貿易企業。

今回は、アルテミス連邦の技術者をノヴァリア大陸へ運ぶ護衛を依頼しているという。


ガイルが工具を片手に近づいてきた。

「ノヴァリア大陸か……初めての土地だな。

俺のアイアン・フォートレスも、ウィングパック付きで飛べるようになったし、

問題ないだろ?」


セラが静かに言った。

「……レオンがいない今、エコーが決めろ」


エコーは少し間を置いて、頷いた。

「受ける。

レオンが目を覚ますまで、俺がナイトメアを動かす。

みんな……ついてきてくれ」


カイの席はまだ空いたままだった。

誰も座らないまま、そこにある。


数日後、グリム商会の大型輸送船「シルバー・ホライゾン」に、

ナイトメアの機体が搭載された。

エコーはファントム・クロノスで船の護衛を務め、

ガイル、リナ、セラがそれぞれの機体で待機する。


船が港を離れ、灰色の海を進み始めた。


エコーはコックピットで静かに呟いた。

「レオン……お前がいない今、俺が影から出る番だ」


海は穏やかだったが、

ノヴァリア大陸へ近づくにつれ、

空気が少しずつ変わり始めていた。


船内で、護衛対象の技術者がエコーに話しかけてきた。

「君たちがナイトメアか。

噂は聞いている。

……アルテミス連邦は、ヴォートの生き残りを保護しているらしい。

気をつけた方がいい」


エコーは静かに頷いた。

「わかっている。

俺たちは、悪夢だ。

誰が相手でも、守るべきものは守る」


船が波を切り、

ノヴァリア大陸の影が、ゆっくりと近づいてくる。


その夜、船の甲板で、

エコーは一人、海を見つめていた。


すると、船倉の方から小さな物音がした。

エコーが向かうと、そこにいたのは——

ボロボロの服を着た、幼い少女だった。


少女は怯えた目でエコーを見上げ、

小さな声で言った。


「……E13……」


エコーは一瞬、息を飲んだ。

少女の瞳には、どこかレオンに似た、

静かな影が宿っていた

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