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XRX-03:灰色の咆哮  作者: 装機伊織
第3期
22/65

鎖の断絶

ナイトメアのハンガーは、静まり返っていた。


エコーとリ・スターが施設から持ち帰ったデータをテーブルに広げ、

レオン、ガイル、リナ、セラが集まっていた。

ホログラムに映るのは、ヴォートの地下研究所の内部映像。

神経ポートに繋がれた被験者たちのリスト。

その中に、カイの名前と写真があった。


エコーは静かに説明を始めた。

「カイは生きている。

施設自爆の後、ヴォートに回収された。

記憶喪失状態で人体実験を受け、感覚共有システムを埋め込まれた。

ファイブ・ヴォイドとして再教育……完全に作り変えられた」


ガイルが拳をテーブルに叩きつけた。

「くそ……! カイが……ヴォートの犬にされてたのかよ!」


リナの指が震える。

「承認欲求を刺激して……洗脳。

カイはいつも『隊長に認められたかった』って言ってたわ。

ヴォートは、それを利用して……」


セラが無言でリストを見つめ、

小さく息を吐いた。

「……戻ってきて」


レオンはホログラムを凝視した。

虚空の痛みが胸を刺すが、

今は痛みより、ヴォートへの怒りが強かった。

「カイを……取り戻す。

ヴォートを、潰す」


エコーが頷いた。

「データはヴォートの感覚共有の仕組みを証明してる。

これをネクサスに突きつければ、ヴォートとの提携を切らせれる。

ネクサスは関係を維持したいはずだ」


リ・スターが通信で熱く言った。

「ヴォルテックも動くぜ。

ヴォートの闇を暴けば、俺たちの味方になる。

同盟を組もう、ナイトメア!」


その時、ハンガーの通信端末が鳴った。

ヴォートのミリア・ヴェインと、

ネクサスの担当者が同時にホログラムで現れた。

ミリアの笑顔は、初めて崩れていた。


ミリアの声が冷たく響く。

「ナイトメアの皆さん……研究所に侵入したようですね。

データを持ち出したことも、すべて把握しています」


ネクサスの担当者が続ける。

「ヴォートとの提携は、ネクサスの利益のためです。

貴方たちの行動は、同盟違反に当たります。

即時、協力関係を解除します。

今後、支援は一切停止。

報酬凍結、施設使用権の剥奪も検討中です」


レオンは静かに答えた。

「ヴォートは人体実験をしてる。

カイを……俺たちの仲間を、実験体にした。

それでも、提携を続けるのか?」


ミリアの笑顔が歪む。

「証拠はありません。

ただの『噂』です。

ネクサスは、ヴォートの広告力が必要です。

貴方たちの『悪夢』は、もう必要ないのですよ」


通信が切れる。

ハンガーに、重い沈黙が落ちた。


ガイルが立ち上がり、拳を握りしめた。

「ふざけんな……!

ネクサスもヴォートも、全部ぶっ潰す!」


リナがデータパッドを叩きながら言った。

「支援停止……こうなると機体の修理もままならないわ。

これから、どうするの……」


エコーが静かに言った。

「ヴォートは、俺たちを潰そうとしてる。

だが、データはまだ俺たちの手にある。

これを世界に公開すれば……ヴォートは終わらせられる」


リ・スターが通信で熱く叫んだ。

「ヴォルテックは味方になるぜ!

リ・スターが保証する。

ヴォートもネクサスも、全部一緒にぶっ潰そうぜ!」


レオンはゆっくり立ち上がった。

「……ネクサスは俺たちを切った。

ヴォートは潰す。

カイを……絶対に取り戻す」


エコーが頷いた。

「もちろんだ」


ガイルが拳を握りしめ、

リナがデータパッドを握り、

セラが静かに立ち上がる。


リ・スターの声が通信に響く。

「よっしゃ!

同盟成立だ!

ナイトメアとハウンドで、ヴォートをぶっ飛ばす!」


空いたカイの席に、誰も触れなかった。

だが、今、皆の視線がそこに集まった。


レオンは静かに呟いた。

「……カイ。

待ってろ。

俺たちは、お前を取り戻す」


ヴォートの闇は、

さらに深く、広くなっていた。

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