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XRX-03:灰色の咆哮  作者: 装機伊織
第3期
19/65

違和感

戦闘は、始まった瞬間から勝敗は決まっていたのかもしれない。


ファイブの5機が展開した直後、

ナイトメアの攻撃はすべて空を切った。


レオンがXRX-03でヴォイド・リーパーを振り下ろした瞬間、

ランガのファイブ・プライムがわずかに横滑りし、

刃は装甲をかすめるだけ。

続いてサラのファイブ・アンプがエネルギー波を放ち、

レオンのネメシア出力が一瞬乱れる。


「なに……?」


エコーのジェネシスがチャージを終え、光線を放つ。

だが、ファイブ・シールド(トラン)がシールドを展開し、

光線は弾かれ、逆に跳ね返される。

エコーの機体が衝撃で後退し、翼が火花を散らす。


ガイルのガトリングが弾幕を張る。

ファイブ・イリュージョン(ミラ)が幻覚を展開し、

ガトリングの弾道がわずかにずれ、

すべてが空を切った。


セラのレールライフルがファイブ・ヴォイドを狙う。

だが、ヴォイドの機体は急加速し、

弾丸は虚空を貫くだけ。


レオンは歯を食いしばった。

「なぜだ……攻撃が全部、読まれてる?」


ランガの声が通信に響く。

「ヴォートのカメラは、君たちの動きをすべて学習した。

肩のわずかな傾き、コックピットの微かな振動、スラスターの噴射タイミング……

すべて、データ化されている。

君たちは、もう予測の鎖の中にいる」


ファイブの感覚共有が、さらに加速する。

システムが攻撃を予測すれば、全員が即座に反応。

連携の強さを増幅させる。

ナイトメアの攻撃は、ファイブにとって「既知のデータ」だった。


ヴォイドの機体が、レオンの前に立ち塞がる。

ツイン・プラズマガンが、ストーム・ランナーのそれを思わせる軌道で連射。

レオンは回避したが、装甲に深い傷が入る。


「くそ……!」


エコーが叫んだ。

「退却だ!

このままじゃ、全滅する!」


ファイブのエネルギー波が一斉に放たれ、

ナイトメアの機体を押し返す。

ガイルのシールドが悲鳴を上げ、

セラのステルスフィールドが剥がれ、

エコーの翼が損傷し、

レオンのネメシアが過熱警告を鳴らす。


レオンは操縦桿を強く握った。

虚空の痛みが胸を刺すが、

彼はそれを抑え込み、叫んだ。


「全員、撤退!」


輸送機が急接近し、回収ポッドが降りてくる。

ナイトメアの4機が、ボロボロの状態でポッドに収容される。

ファイブは追撃せず、

ただ静かに見送るように機体を浮遊させた。


ランガの声が、最後に響いた。

「素晴らしい素材だった。

次は……もっと深い痛みを、撮影させて頂きます」


ポッドが上昇し、灰色の空へ消える。

ハンガーに戻った機体たちは、

ドックに収まっても、火花と煙を上げ続けていた。


レオンはコックピットから降り、

壁に寄りかかって息を荒げた。

虚空の痛みが、胸を強く締めつける。


エコーが近づき、静かに言った。

「ヴォートのカメラは……俺たちの動きをすべて学習していた。

ファイブは、予測の鎖で俺たちを縛ったということだな」


ガイルが拳を握りしめた。

「次は……俺のシールドで、全部受け止めてやる」


セラが無言で頷く。

ハンガーの照明が、赤と青に揺れた。


レオンは空いたカイの席に視線を向けた。

誰も座らないまま、そこにある。


「……カイ。

お前がいれば……もっと、違ったのかもしれない」


虚空の痛みが、静かに広がる。

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