第24話「決着」
再び首位が変わる。
残されたコーナーは7個。
永野はあの瞬間に大きく順位を落とし、逆転は不可能に等しいものになった。
最終コーナーを1番に立ち上がってきたのは20号車。
松下が乗るマシンだ。
そして、遅れて4位に真っ赤なマシン。
フェラーリの永野だ。
そして、この瞬間、松下にとって初めての、Storm F1teamにとって初めてのワールドチャンピオンが決定した。
『やった!やったぞ!俺達がチャンピオンだ!』
「ぃやったぁ!あぁああぁ!やったぞ!」
喜びが爆発する中、忘れかけていたことを思い出す。
「あ、そうだ。あれを掲げなきゃな!」
コックピットの足元を探る。
「あ、あったあった。」
それを握りしめ、掲げる。
それはフランス国旗だった。
そして、そこにはあるものが書かれていた。
〝For Noah〟
そう、あの日、イギリスグランプリで掲げられなかったノアに捧げる母国旗だ。
「ノア、見てるか?俺、チャンピオン獲ったぜ。」
そして、それを掲げながら、ドーナツターンを決める。
1年前と同じ場所で。
表彰式が始まる。
グランプリの優勝トロフィーとは別にチャンピオンを祝う大きなトロフィーが渡される。
それを掲げた瞬間、今まで聞いたことのないほどの大歓声が上がった。
思わず、その音の大きさにビビる。
「おぉぉ…アブね。」
トロフィーを落としそうになる。
知っている人が誰もいない表彰台。
いつも表彰台に立つ仲間たちはみんなリタイアか下位に沈んでしまった。
1位を獲ったが寂しさも感じていた。
しかし、下を見渡すと、永野、オリビア、F2時代の代表のルーカス、みんないた。
ただ、1人いないのが、さらに寂しい。
「おめでとー!」
その瞬間、駿が下から叫ぶ。
それに俺はトロフィーを掲げ、拳を突き上げ、応える。
そして、シャンパンファイトが始まる。
今まで味わったことのない、とても美味しいものだった。
Storm F1のピットにトロフィーを抱きかかえながら戻って来る。
「重っ…みんな!やったぞ!」
「「「わぁぁぁぁ!」」」
チーム内でも大歓声が上がる。
チームのメンバーたちと写真撮影をし、解散する。
「なぁ、松下、この後大丈夫か?」
「あぁ、アンドリュー。大丈夫だ。」
2人はピット上のラウンジに向かった。




