第21話「スタートダッシュ」
ついに今シーズンの最終戦が始まる。
長かったレースも今日で終わり。
昨年最下位を走り続けてきたStorm F1チームが今日、最前列からレースを始める。
「今日のレースは俺が松下を守るってことで平気か?」
「あぁ、俺が全力でチャンピオンを取りに行く。だから、守ってくれると嬉しい。」
「じゃあ、頼んだぞ。」
「おう。」
お互い、マシンの方へと戻っていった。
「…よし、見ていてくれ。ノア。」
ステアリングに貼った写真を見る。
そして、マシンの前方に回る。
「…頼むぞ。」
ノーズコーンを触り、祈る。
『無線チェック、無線チェック。』
「しっかり、はっきり聞こえます。」
『今日の目標はお前達がチャンピオンを獲得することだ。チームオーダーは発令しない。』
「了解」
ミラーを見ると、自分のすぐ後ろに真っ赤なマシンが1台。
「…永野。今日だけはお前には譲れない。」
さぁ、最終戦の幕が上がる。
全車、一斉に地面を蹴り出す。
まとまって1コーナーへ。
スタートダッシュを決めた松下は首位のまま。
2位にアンドリューが上がる。3位には永野。
「このまま後は抑えきれれば…」
松下は加速していく。
「くっ。フェラーリにメルセデスまで…ビッグ3チームを相手にすることになるなんてな。ちょっと前までは向こう側にいたのに。」
「まぁ、この状況も楽しいな。松下のチャンピオンのためにも、守りきってみせる。」
23周目、ピットインする選手が出始める。
『松下、この周、お前を入れる。装着するのはミディアムタイヤだ。』
「了解、了解」
『アンドリュー、お前は3周後ピットインだ。次はソフトタイヤを履くぞ。それで最後にまたハードタイヤに履き替える。大丈夫か?』
「了解、それでいこう」
この戦略で、松下がピットに入り、下位に沈む。
そしたらアンドリューが集団を抑え込み松下が追いつくまでの時間を稼ぐ。
そして、再び集団のトップに松下が行く、という作戦だ。
この作戦により、レースのほとんどをStorm F1チームが支配していた。




