第14話「訃報」
イギリス、シルバーストン・サーキット。
F1が始まった地でのレースが始まる。
しかし、その前座レースであるFIA F2で事故は起きた。
パドック上のラウンジで中継映像を見ていた。
「なぁ、駿。今日のノア、なんか危なっかしくないか?」
「なんかな。すごい攻めてるっていうか。すでに速いのにな。」
「なんか嫌な予感するな。」
「だね。」
そして松下と永野は取材を受けるためにラウンジを後にした。
取材が始まり、質問に答え続ける。
ただその時、ノアがクラッシュしたという場内実況が聞こえた。
「すまない。」
取材を切り上げ、映像が見れる場所に向かう。
そこに映し出されていた映像に言葉を失った。
そこにはノアが乗っているモノコック部分がフェンスの外に飛び出している様子が映し出されていた。
「最悪な状況だ…」
リプレイ映像が流れる。
第12コーナーで姿勢を乱したノアはスピン状態になる。
そのまま、第13コーナーで後続車が横に激突、モノコック部だけが吹き飛び、フェンスを越えた。
「…生きてるかもわかんねぇぞ…」
隣を見ると、駿の顔は青ざめていた。
絶望に落とされていた。
不安な気持ちを抱えたまま迎えるF1の予選。
『ヒロキ…F2の事故で心配な気持ちもあるだろう。ただ、彼はきっと大丈夫だ。』
「…」
黙ったまま、俯いたまま。
『ヒロキ、ちょっとこっち向け。』
ふと向くと、ヘルメットをグーで叩かれる。
『いつまで引きずるんだ。レーサーには一番必要ないものなんだ。いつまでも引きずることは。』
「…ありがとうございます。前向けそうです。」
『予選スタートだ。行って来い。ノアにも良い結果報告できるようにな。』
20号車がピットを飛び出していく。
『セクター1、全体ベストだ!』
もうとにかく全力で走った。
ノアの悲劇を忘れるために。
俺は、走っている間、叫び続けた。
そうでもしないと、気が狂いそうだった。
そして、予選が終わる頃には声は枯れていた。
「お疲れ様。いい走りだった。4位は上出来だ。」
「ありがとうございます…」
その時、デスクに置いてあった自分のスマホが震えた。
手に取ると、そこにはショックな通知が来ていた。
【ヒロくんへ。ノアについて】
本当は開きたくない。でも、現実を受け入れるしかない。
通知をタップし、メールを開く。
ヒロくん、真っ先に伝えなくてはいけないことがある。
ノアについてだ。
ノアだが、あの後、搬送先の病院で亡くなったそうだ。
あの、横からの衝突と、モノコックが吹き飛んだ時の衝撃で脳に大きなダメージがあったらしい。
もう、救助された時には助かる見込みはなかったそうだ。
また会ったら話そう。
「…ッ」
涙が頬を伝う。
一番つらいのは駿だ。
駿は彼に助けられた。
彼の様子を見に行こう。




