第11話「同士討ち」
F1は日本からアメリカ、マイアミへ。
マイアミでのF1は毎年チームが特別ラッピングをしたりドライバーたちも特別なカラーリングのヘルメットを作ったりとF1全体が盛り上がる。
そんな中、決勝レースで松下はアンドリューに追い立てられていた。
「この後ろのアンドリュー、もう少し差をあけられない?差がつまり過ぎて怖い。」
『一応言ってはいるんだが…聞いていないみたいだな…』
実際、ラップタイムで比較すると、松下の方がコンマ数秒速い。
そのため、チームはポイントを獲得させるために松下を優先させる戦略を採っていた。
しかし、アンドリューはチームからの指示を聞かず、松下を追い抜こうとまでしていた。
「……邪魔だ。」
アンドリューが乗る54号車が松下の乗る20号車のイン側に飛び込んでくる。
「…!?」
『抑えろ!』
その一言に咄嗟に走行ラインを変える。
これによる結末は明白だ。
2台は接触。
2台ともコースアウト。
お互い走り出そうとしたが、サスペンションが破損したり、サイドポッドに大穴が空いたりと走行に支障をきたすダメージを負い、リタイアとなった。
「なんで!なんでこうなるの!」
無線に向かって叫ぶ。
『あ〜…すまない。私が咄嗟に抑えるように指示したのが悪かった。』
「あれは仕方ないよ。俺としても先に行かせちゃえばよかった。」
『それでも、お互いに大量のポイントを獲得できたのは間違いないからな。』
その時、54号車の方からドライバーが降りてきたと思ったらいきなりマシンに乗ったままの松下の胸ぐらを掴んできた。
「おい!なんのつもりだ!あのラインの変更!危ねえだろ!」
「あんたこそ!チームから俺と少しギャップを作るように言われていたのに無視してギリギリまで近づいてきて!」
「お前は俺の後ろを走っていればいいんだよ!ルーキーはルーキーらしく後ろの方走ってやがれ!」
「…んだとぉ…?」
もう埒が明かない。
そんな言い合いをしているとマーシャルに制止された。
「ケッ。ぽっと出のルーキーのくせに。」
「あん?」
もうダメだ。あの人と近くにいると一生言い合いしてそう。
お互いに別の道を使ってパドックへと戻っていった。
「まず、2人のレースを台無しにしてしまって済まなかった。」
ストームが頭を下げる。
「ハンッ。本当だぜ。こいつのせいでレースを壊されたもんなんだからだよ。」
俺を指差す。
「なんだとぉ?」
「落ち着け、落ち着け。お前らは本当に衝突してばかりだな。もう少し仲良くしようぜ?な?」
「「ふん。」」
お互いにそっぽを向く。
まだまだ、仲良くはなれなさそうだ。




