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五年前の回想 未来のダーリン


「ジロの、み、未来は、わ、わ、私の、う、う、運命の、ひ、人」


「ケッ! いつもそんな事言って――」


「――い、いつものとは、ち、違う! ジロ!」


 ジロは(ひそ)やかだが力強い声で呼びかけられ後ろを振り返ると、ジロに触れんばかりの距離にアンナの顔があり、ジロは歩調を乱す。そんなジロの様子もアンナは長い前髪の下から大きな瞳で見つめていた。


「き、君だけは、し、信じて、ジロ!」


 手でも握りかねない勢いであったが、ジロには決して触れないようにしているのが分かった。

 ジロが身動きして、アンナに触れそうになると、瞬時にジロが動いた距離と等間隔で距離を保っている。


 アンナはジロの目を見つめている上に、動きにくそうなドレス姿なのにも関わらず、そんな神業のような体捌き易々とこなすアンナを見て、やはりティコ・ティコの一員なのだなっとジロは感心した。 


「わ、わ、私、み、み、未来が、み、み、見える。わ、私はついに、う、う、運命とで、出会った……」


「くっだらねえ……。気がするだけなんだろ? いつも今度こそとか言ってるらしいじゃねえか。……でも待てよ? 男を対象に運命だ。って言いだしたのは今回が初めてじゃねえか? ……後でカルラとマリアに聞いてみっか。んで? ……どうしてジロを選んだんだ?」


「……」


 三人の草を踏む足音だけが静寂を乱す。


「ジロ、かったりぃから、俺と直接会話するように言え」


「あの~、できれば、え~っとアンナ様……ジェイさんと直接会話を――」


「れ、レイル。そ、その話、だ、誰からき、聞いた? カルラ? ま、マリア? そ、それとも今言ってた、シングかセーラー?」


「オーからだ。あの女は、口が軽すぎるからな」


「く、クラリーチェ!! も、もう! ……し、仕方ない、ジロの、た、頼みだし、。こ、応えてあげ、る。……こ、今回は、今までとは、ち、違う」


「どう違うってんだ?」


「……。しょ、正直、さ、最初の一回が、き、来てるかと思った、だ、だけ。で、でも今回のは、しょ、しょ、う、う、受けた 衝撃が、い、今、までとは、ち、違ったってた。ま、ま、ま、まさか、お、お、せ、生物としてのさ、さ、最下層の、ひ、に、人間の、お、男の、ひ、人に、ビビッ! って、く、くるとは、わ、私もお、思ってなかった」


「最初の一回? どういう意味だ?」


「お、教えない」


「聞け」


「……最初の一回ってなんですか?」


「ジロと、い、言えど、、お、おいそれとは、お、教えられない。け、結婚す、する?」


「……しません」


「どんどん押せ、ハゲジロ!」


「っと、言ってますが……」


「……。ち、ちょっ、ちょっと、れ、レ、レイル。わ、私のジロを、り、利用、す、するなんて、き、き、汚い!」


「カカカッ! 汚くて結構だぜ! ジロをとことん利用してやる! おい、漆黒女、珍しく、感情無しのオメエが困ってやがんのな! まさかオメエがそんな感じになるなんてなぁ! 今までの憂さ晴らしをさせてもらうにゃぁうってつけだぜ」


「も、もう、こ、金輪際、れ、レイルには、こ、講義し、しない!」


「おうおう、結構結構。テメエお得意の魔法の術式構成を教わったカルラから直接教わるから、それで結構だぜ? カカカッ!」


「き、汚い! そ、それに、そ、粗暴! れ、レイル、なんて、し、し、死んじゃえ!」


 カカカッ! とジェリウスはようやくいつものような高笑いをあげた。


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