愛情確認
自宅で洗濯物をたたんでいる最中に涼くんから、
「奈良はどうだった?」
と聞かれたので、奈良市内や飛鳥地方を観光したことや、年数回奈良へ行って神社の観光宣伝を行いYouTubeで配信することなどを神社の人から求められて、決まったことなどを話す。
「僕の方は、赤羽のYouTuberさんの家で見つけたメモの白い石について調べてみたけれど、特に情報無かったよ。白い石って言うのは石下神社の海外での投資会社みたいなんだけど、合法で別に怪しい訳でもないみたいだった。スケールはかなり大きいみたいだけどね」
「うん。私もその神社へ行ったけど、普通の神社だった。神社の人もみんな親切だったよ」
神社を事前に調べるほどでもなく、取り越し苦労だったみたい。
私は馬渡さんとのことを言いだそうか迷って、意を決して彼に切り出す。
「ちょっと話があるのだけど」
「何?」
「一緒に奈良に行った馬渡さんに、私、プロポーズされた」
涼くんはキョトンとした顔で私を見つめる。
――その間は何を意味しているのかしら?――
「それは比呂美さん的には良いこと?」
「うん」
「じゃ、良かったんじゃない」
思っていた以上に、あっさり会話は会わってしまった。
アンドロイドに感情があるかどうかは分からない。もしかしたら、感情自体が無いかもしれない。
何か聞けばそれに最適な答えは返してくれるし、困った時に助けを求めれば助けてくれる。でも、今まで一緒に暮らしてきて感情があるように思えたことは無かったかもしれない。
――私は彼に何を求めていたのだろう?ハイテンションのお祝いの言葉?それとも嫉妬されることによる愛情確認?――
どうしても彼の考えが聞きたかった。もう少し反応が欲しかった。
「どう思う?」
「馬渡さんには2回しか会ったことないから、僕には何とも言えないな。僕は比呂美さんの人を見る目を信じているから」
そう言われて、はっと気づく。馬渡さんの存在を知っている人が私の周りには誰もいない。もともと学校で友達は少ないので、こんな大事なことを自分だけで決めていたのではないかと。
馬渡さんからプロポーズされた時、あまりにも急で自分でも予想外だった。うれしかったからもうその気になっていたけれど、冷静になって考えてみると、ちょっと急過ぎはしないかと思い始める。もう少し考えてから結論を出しても良いかもしれない。
でも、やっぱり、どう考えても、私にとってはもう答えは決まっていた。




