海兵隊
「Anyone there?」
ドアがうっすら開き、誰かが声をかける。
涼は息を潜めてじっとする。
英語の人影は懐中電灯を照らしながら、サーバールームに入ってくる。サーバーラックは2列並んでいて、涼とは反対の列沿いを彼は歩いてくる。
涼はラックの陰に隠れるが、近くまで来て懐中電灯を当てられたら確実に見つかる。
――ちょっと彼には悪いけれど――
そう思いながら、近づいてくる彼の首筋を軽くチョップする。軽くだけれど彼が失神するには十分だった。ドサッという音とともに彼は倒れる。すると今度は
「What happened? Respond」
――あれっ、また英語?――
倒れた人の耳元のイヤホンから英語が漏れ出ている。
――人手不足で警備員に外人を使っているのかな?――
サーバールームの扉の開放ランプが着き、確認に行った彼からの状況報告がないから警備室が応答を求めている。警備室から応援が来そうな雰囲気だ。
涼はサーバールームの扉まで行き、そっと顔を出す。さっさと非常階段へ戻り屋上からパラシュートで地上まで降りようと思った時、向こうの方から2つのライトが近づいてて来る。
「Freeze!」
また英語で今度は叫んでいる。涼は無視して通路を進もうとした時、パパーンと発砲音が聞こえ、体のすぐ近くを弾丸が掠る音が聞こえる。
――えっ、銃撃?――
通常の銃ならば彼の体の合金はビクともしないが、フルメタルジャケットなど特殊弾丸の場合は損傷を受けるかもしれない。彼はとっさに来た道を戻り、サーバールームに引き返し、扉を閉め鍵をかける。
サーバールームの背面は窓ガラスになっており、そこを破ればビルの外に出られる。彼は窓際に寄りブラインドを上げガラスを割ろうとした時、再び銃撃音がしサーバールームの扉の鍵が壊され、ガバッと開いたドアから警備員二人が室内に無秩序に乱射する。
涼は二人組に突進し一人の首筋を叩き気絶させる。もう一人は涼に銃を向け発砲するも通常弾だったようで彼の左腕に命中したけれど跳ね返る。信じられないといった顔に向かってアッパーカットを繰り出し彼も気絶させる。
彼らの銃を見ると、かなり長く大きい。拾い上げる。M16だ。
――アメリカ陸軍の正式銃だ、何で?――
暗がりの中で倒れている警備員3人をよく見てみる。彼らの着ている制服は普通の警備会社のものではなくデジタル迷彩だ。襟元には地球儀に錨のマークの襟章をつけている。
――アメリカ海兵隊員だ。何でこんなところに海兵隊が?――
ホワイトストーンがいくら大企業と言っても、所詮は民間会社。海兵隊がいる訳がない。さっき調べた情報からは日本では大した仕事はしていないと思ったけれど、何かまだ分かっていないことがあるのかもしれない。




